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【レビュー】全日本フィギュアスケート選手権大会 2023年 競技3日目 ペアFS,男子FS編

第92回全日本フィギュアスケート選手権競技3日目、ペアFSと男子FSの全選手・組の感想をまとめます

第92回全日本フィギュアスケート選手権大会
日程:2023年12月20日(水)~12月24日(日)
会場:ビッグハット(長野市若里多目的アリーナ)(長野県長野市)

まず、ペアFSからご覧ください↓

ペア

1.長岡柚奈/森口澄士選手組(ナガオカユナ/モリグチスミタダ) 木下アカデミー

FS:Space Table Symphony(演奏:Bernd Breiter&デイヴィッド・ギャレット&Le Shuuk)
FS振付:キャシー・リード

SPの明るくポップな演技とは、打って変わってスケール感のある曲を選びました!四季をテクノ風にアレンジした曲です。

冒頭の2Twを綺麗に決まり、SBSの3Lo+2A+2A+SEQを鮮やかに決め、もうそこからはミスする気配を全く感じさせない雰囲気になりました。その後は目に分かるミス無く、二人に魔法がかかった素晴らしい演技でした!!アイスダンスのような緻密さと、ペアのダイナミックさ、スピード感を融合させたプログラムに魅せられました!会場総スタオベ!

長岡選手は北海道時代、シャープなスケーティング、動きの引き出しの多さが印象的に残っていた選手でした。たった7・8ヶ月前の決断から、競技生活が大きく変わりました。ペア経験のある森口選手の導きもあり、試練を乗り越えてきた姿が目に浮かびました。

二人の化学反応から生み出される演技に、感銘を受けました!

117.57 173.64 SB


引き続き男子FS第1グループ1~6番の選手の感想をどうぞ!

男子FS 第1グループ

1.蛯原大弥(エビハラダイヤ)選手 明治神宮外苑FSC

FS:映画『ミッション:インポッシブル』より
FS振付:岩本英嗣

ジュニアから推薦で出場し、FSに進出しました!

ジュニアのFSとの大きな違いは、StSqがあるかどうか、演技時間も長くなります。どこにStSqが入るのか、それに伴ってどう曲を足していくのか、1つの注目ポイントにもなります。

昨季から継続のプログラム、StSqが入ることもあり、いつもとは違うプログラムになるので楽しみにしてました!

6分間練習の最後に3Aを決めました!6分間練習が終わった直後に滑走となります!冒頭、SPでは転倒した3A、見事に決めました!6練の良いイメージがあってなのか、これで流れに乗りました!

その後は盤石な体制、次々とジャンプを決めていきました!

2A+3Tのあとから、ジュニアとは違う曲が入っているように聴こえました。それから、1番最後のジャンプである3Sを降りて、FSSp、ChSqをして、お馴染みのテーマ曲の部分でStSqに突入しました!ChSqのところをシニア尺ではStSqに変えるのも、1つの策略です。蛯原選手のこのプログラムの場合、最後をStSqに変えて、ターンを切るさいに激しさを表して印象づけようという狙いがあると考えてます。

パワーとキレがあって、気迫を感じる延喜でした。チャンスをモノにしていこうという、意志の強さも伝わりました!

ガッツポーズ飛び出た!スタオベもありました!

131.11 192.86 SB

2.田内誠悟(タウチセイゴ)選手 富士FC

FS:映画『ムーラン・ルージュ』より
FS振付:安藤美姫

前に滑った蛯原選手に引き続き、ジュニアから推薦で出場した選手です!2年連続で出場となります。

昨季のFSでムーラン・ルージュを使用し、今季も継続していました。しかし、10月に安藤美姫先生のもとに移ることになった際にSP・FS共にプログラムを作り変えることになったのです。FSは元々の配置をほとんど変えずに、曲を一部差し変え、振りも変えるという措置が取られました。

中盤に、物語の中で1番盛り上がる曲『Come What May』を入れました。そこにChSqを配置し、直後にStSqを付ける選択を取りました。StSqのエンドに、ジュニア尺のChSqの最後の見せ場、レイバックニーズライドを入れて、観客にインパクトを残しました。

最後までしっかり集中して、挑んでいこうという思いが見えました。

しなやかで繊細な所作に、どんどん力強さが加わっていく。その過程を見ていくのがとても楽しみな選手だと、改めて感じました!

126.12 190.01

3.木科雄登(キシナユウト)選手 関西大学

FS:Primavera/In Un’Altra Vita(演奏:ルドヴィコ・エイナウディ)
FS振付:樋口美穂子

1日目でも言及した通り、高橋大輔さんがプロヂュースするアイスショー滑走屋にてアンサンブルスケーターとして出演予定の選手です。

シニアに上がってから、初めて全日本のFSに進出しました。3年ぶりの全日本FSに対し、これまでの悔しさを晴らし、この演技に懸けるという強い思いが伝わってきました!

静かに、冷たさを感じる音楽、冬の嵐でも表すようなメロディーが流れる中、最初の3Aは転倒してもすぐに立ち上がり、その他のジャンプは全て降り立ちました。

後半1番最初のジャンプである、3Fからパンフレットに記載の無い曲が挿入されています。前半と同じアーティストによる曲です。

全てのジャンプを終えた後に配置されたChSqにて、リンク中央でホップ、大きな軌道を描くイナバウワー等が印象に残りました!

123.60 188.12

4.垣内珀琉(カキウチハル)選手 ひょうご西宮FSC

FS:Wake Me Up(歌:アヴィーチー)
FS振付:佐藤操

ジュニアから推薦出場し、既に2024年ユース五輪日本代表として内定しています。世界ジュニア選手権代表を懸け、このFSを滑ります。

昨季から継続のプログラム、SPとは打って変わって明るいプログラムです!

3本目の3連続ジャンプの前に手拍子が鳴ってしまうほどノリの良い曲です!2023年国体では、リンクサイドの仲間がライブ会場かとつっこみたくなるほど、曲に合わせて体を揺らして盛り上げてたのを思い出しました(笑)

2Aのあとジュニア尺ではChSqだったところをStSqに充てて、3Lz+2TそのあとにChSqを新たに配置しました。

SPでは転倒した4Tをなんとか堪えて降りつつも、最後まで軽快に、颯爽と踊っていく姿が光ってました!

131.72 196.30 SB

5.大島光翔(オオシマコウショウ)選手 明治大学

FS:映画『ムーラン・ルージュ』より
FS振付:シェイ=リーン・ボーン

アイスショー滑走屋にてアンサンブルスケーターとして出演予定の選手です。

SPではマリオになりきり、話題をさらった大島選手!FSは、自身初の海外の振付師によるプログラムで挑みます!

リンクサイドに中野園子先生もいました!大島選手の父でもありコーチが、かつて中野先生のアシスタントコーチを勤めていたことがきっかけです。

冒頭は、昨季後半から挑戦していなかった4Lzを、今季初挑戦しました!

『ネイチャー・ボーイ』から始まり、FCCoSpのあとに『Because We Can』という流れはいつも驚いてしまうのです。初戦で観客から笑いが起きました。退廃的な雰囲気から一転、突然、はいどうもーって漫才の曲が流れてくるからです。歌詞の内容も、愛とは何かから一転、ただ出来る、出来ると叫んでいるものなので、ギャップを感じました。Because We Canはムーラン・ルージュの中で流れた曲でもあります。

ユア・ソングでStSqとChSqの連続は、大切な人へ思いを伝えているように感じました!最後は、リンク中央のカメラに向かって薔薇を差し出す動きをしました!

ムーラン・ルージュのメドレーで入れるのは珍しい曲を使ってて、新鮮さを感じました。挑戦しつつ、華やかで情感こもった演技が印象的でした!

122.47 189.36

6.高橋星名(タカハシセナ)選手 木下アカデミー

FS:ミュージカル・映画『レ・ミゼラブル』より
FS振付:キャシー・リード

ジュニアから推薦で出場を果たした選手です。今季がジュニアデビューです。

SPではコミカルな曲調、FSではドラマチックな演技へと変えていこうとしてる風に思えます。

3S3Tのあとオン・マイ・オウンに合わせてChSqを配置しました!そこではしっとりとした滑りを魅せていました!ラストジャンプのあと群衆の歌に合わせてStSqを配置しました!そこでは、革命軍を率いる、勇ましい姿を表していました!

曲によって、滑りのタッチ、伝えたい思いを変えていくのが印象的でした!

体を大きく使って、世界観を伝えていこうとする姿が素敵でした!

本人も、終わったあとにっこり笑顔、お辞儀のあと手を振りました!

123.49 191.77

次は第2グループ7~12番の感想です。

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【レビュー】全日本フィギュアスケート選手権大会2023 競技2日目 アイスダンスRD,女子SP編

第92回全日本フィギュアスケート選手権競技2日目、アイスダンスRDと女子SPの全選手・組の感想をまとめます

第92回全日本フィギュアスケート選手権大会
日程:2023年12月20日(水)~12月24日(日)
会場:ビッグハット(長野市若里多目的アリーナ)(長野県長野市)

まず、アイスダンスRDからご覧ください↓

アイスダンスRD 第1グループ

1.国村柚里/坂部魁士選手組(クニムラユリ/サカベカイジ) 臨海フィギュアSC/大阪経済大学

RD:She Drives Me Crazy/Jessie’s Girl(歌:ファイン・ヤング・カニバルズ/リック・スプリングフィールド)
SP振付:有川梨絵

今年競技会デビューしたカップルです。

男性は全日本ノービス選手権のアイスダンスで出場経験がある選手です。女性・男性共に初のシニアの全日本の舞台となります!

今季のリズムダンスの課題は“Music and Feeling of the Eighties”、直訳すると『1980年代の音楽と感じ』を全カップルがテーマにして作っています。

『She Drives Me Crazy』は1988年、『Jessie’s Girl』は1980年にリリースされた曲であります。

男性が背が高いというのもあり、3階席からもスケールが大きく見えました。

ノリの良い曲を男女ピッタリと動きを合わせて滑っていく姿に目を惹きました。これほど大きな舞台は初めてであろうかと思いますが、堂々と、踊っていく姿勢が素敵でした!

40.71

2.小松原美里/小松原尊選手組(コマツバラミサト/コマツバラタケル) 倉敷FSC

RD:映画『ゴーストバスターズ』シリーズより
RD振付:ロマン・アグノエル

『チームココ』の愛称で知られるカップル。2016年にカップル結成、2017年に結婚し公私ともにパートナーとなりました。男性はアメリカから帰化し、現在は国際大会では旧名『ティム・コレト』、日本では『小松原尊』として出場しています。北京五輪に出場を果たし、次の五輪を目指していく大ベテランカップルです!

映画『ゴーストバスターズ』シリーズの1番最初の作品は1984年公開なので、80年代のテーマに、まあ、沿っていますね。

コールの後、2人敬礼ポーズ

DiStで向かい合って女性が狙い撃ち、他にもゴーストバスターズのお馴染みのメロディーに合わせたユニークな振付が組み込まれてました!

最後のお辞儀も、世界観そのもの!着実にエレメンツをこなし、世界観を伝えるというミッションをコンプリートした達成感が伝わる!

最初と最後が比較的世間に知られている、馴染のある曲で安心感ありました。『あっ、ゴーストバスターズだ』とインパクトを残していきました。

楽しい演技でした!

70.89

3.田中梓沙/西山真瑚選手組(タナカアズサ/ニシヤマシンゴ) オリエンタルバイオ

RD:ゲーム『スーパーマリオブラザーズ』シリーズより
RD振付:ロマン・アグノエル

今年結成されたカップル。『あずしん』として親しまれています。女性はシングルでジュニアグランプリシリーズに出場経験がありますが、アイスダンスそのものが初めてとなります。男性は2019年からシングルと並行してアイスダンスを始め、全日本ジュニア優勝、世界ジュニア選手権出場を果たしたことがある選手です。今年シングルを引退し、アイスダンスに専念しています。男女共、シングル・アイスダンスの両方で全日本出場を果たしました。

『スーパーマリオブラザーズ』は1番最初に発売されたのが1985年ですので、80年代というテーマに…まあ沿っていますね。

衣装からして、男性が兄マリオ、女性が弟ルイージという設定が伝わります。男女で組む競技は、男性はヒーロー、女性はヒロインを演じる中、女性も男性キャラを演じるところが非常に珍しい設定です。

ゴール後、進むような動きをしながらスタートポジションにつきました。

PDの時、男性、女性がそれぞれ、高く足を上げて滑るシーンに拍手も👏

最後は勢いありながら、エレガントに、正確にターンを踏んでいき、『It’s me Mario!!』で腕組んでフィニッシュ!

ユニークさと気品あふれる実施に、会場スタオベ!

71.08 SB トップに立ちました!

アイスダンスRD 第2グループ

4.佐々木彩乃/池田喜充選手組(ササキアヤノ/イケダヨシミツ) 日本大学/西武東伏見FSC

RD:Wake Me Up Before You Go-Go/ケアレス・ウィスパー/Wham Rap!(歌:ワム!(1・3曲目)/ジョージ・マイケル(2曲目))
RD振付:マリオン・デ・ラ・アソンション

今年結成されたカップルで、女性はシニアの全日本は初めて出場を果たしました!

1981年~86年にかけ活動したワム!の名曲メドレー。2曲目はジョージ・マイケルがカバーしたバージョンを使用しています。

女性の衣装が原色を使用したスタイルで、遠くからもはっきりと見えて、目を惹きます!

アクティブに滑り、ポップな踊りを披露していました!二人の表情が豊かなカップルという印象でした!

キスクラでは、コーチの一人砂山朱先生の生徒が代々抱えてきたくまのぬいぐるみがいました。

51.47

5.吉田唄菜/森田真沙也選手組(ヨシダウタナ/モリタマサヤ) 木下アカデミー

RD:ワイルド・チャイルド/恋はワイルド・シング/ワイルド・サイド
RD振付:歌:イギー・ポップ/X/モトリー・クルー

今年結成され、『うたまさ』の愛称で親しまれているカップルです。カップル男女共に、ジュニア時代に別のパートナーで全日本Jr.優勝、世界Jr.出場の実績があります。10月に行われた予選会では、優勝を果たして迎えた、初めてのシニアの全日本。

1曲目は1986年にリリース、2曲目は1965年に最初に発表されたものを、1984年にアメリカのバンドXがカバーしたものを使用、3曲目は1987年にリリースされた曲です。

冒頭、男性がいきなりバタフライして筆者はびっくりしました。

男女共スケーティングに勢いがあり、アップテンポに対してもピタッ、ピタッっと音と動きを合わせていける力に目を張りました!SqTwの中の3つ目のツイズルで男性が転倒するミスがありましたが、最後までビュンビュン飛ばしていく演技

持味のスピード感を存分に活かしたプログラム!女性のパンツスタイル、男女とも黒と赤がベースの衣装というのもあり、二人はF1レーサーかと思いました。スリリングな一時でした!

64.00

6.木下あかり/田村周彦選手組(キノシタアカリ/タムラタカヒコ) 慶應義塾大学/三田スケートクラブ

RD:女神達への情歌(報道されないY型(ケイ)の彼方へ)/いとしのエリー/希望の轍(歌:サザンオールスターズ)
RD振付:宮本賢二

2年連続2回目の出場のカップル。男性がこの春に慶應義塾大学を卒業し、一般企業に勤めながら競技を継続しています。

1曲目は1989年、2曲目は1979年、3曲目は1990年に発表された曲になります。厳密に80年代でなくても、その時代に近い雰囲気を出せばよいという解釈なのでしょうか。日本の80年代はこんな感じだったよねという、衣装や曲を選んできた印象です。

サザンオールスターズの曲を、フィギュアスケートで使うという斬新な発想です。日本語の曲で、世間に広く馴染みがあり、全日本という舞台であるからこそ、観客が容易に世界観を解釈しやすくなると感じました。

滑りは、同じ大学同士で年齢が近いこそだからできる信頼関係が、大きな持味のカップルです!呼吸をそろえ、安心してリフトが見られるそんなカップルです。

最後の希望の轍では、観客が容易にノリやすいので手拍子が起こり、インパクトを残していきました。爽やかな演技がとても素敵でした!

47.30

今季のRDは、1980年代付近の曲、映画、ゲームであれば良いということなのでしょうか。後で調べてみて、ゴーストバスターズ、スーパーマリオブラザーズは1980年代に最初に生まれたことを初めて知りました。作品背景、歌詞の意味を知ると、より観戦が楽しくなりますね。

続いて女子SP第1グループ1~5番の感想です。

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【レビュー】全日本フィギュアスケート選手権大会 2023年 競技1日目 ペアSP,男子SP編

第92回全日本フィギュアスケート選手権競技1日目、ペアSPと男子SPの全選手・組の感想をまとめます

第92回全日本フィギュアスケート選手権大会
日程:2023年12月20日(水)~12月24日(日)
会場:ビッグハット(長野市若里多目的アリーナ)(長野県長野市)

まず、ペアSPからご覧ください↓

ペア

1.長岡柚奈/森口澄士選手組(ナガオカユナ/モリグチスミタダ) 木下アカデミー

SP:映画『ジャージー・ボーイズ』より『君の瞳に恋してる 』
SP振付:キャシー・リード

今年結成したペアです。女性の長岡選手は年々跳べる3回転ジャンプの種類が増え、北海道のJr.女子のエースとして台頭していた中で、今年ペアに挑戦している選手です。男性の森口選手は昨季はペアとシングルの二刀流、今季はほとんどペアに集中しています。

『君の瞳に恋してる 』はフランキー・ヴァリが1967年に出した名曲で、数々のカバーがある曲になります。今回は、映画『ジャージー・ボーイズ』で歌われたバージョンを使用していると考えられます。

サイド・バイ・サイドの3Lo、スロー3Sが鮮やかに決まって、会場のテンションが上がっていくのを感じました!軽やかなメロディーに合わせ、2人が弾むように歩く。そんな恋の物語が見える演技にスタオベ多数でした!

56.07 SB

ペアは三浦璃来/木原龍一選手組(木下グループ)が欠場となったため、1組のみの実施となりました。
引き続き男子SP第1グループ1~6番の選手の感想をどうぞ!

男子 第1グループ

1.高橋星名(タカハシセナ)選手 木下アカデミー

SP:映画『タッカー』より
SP振付:キャシー・リード

1つ下のカテゴリーのジュニアから推薦で出場を果たした選手です。今シーズンがジュニアデビューシーズンであります。昨年の全日本ノービス選手権のノービスAの優勝者でもあります。

初出場でいきなり1番滑走という状況の中、堂々とした滑りを披露したように感じました。様々な動きをスムーズにこなしながら滑っていました。音に対して、多様なポジションを決め、ジャッジにアピールしていました。指先からキラキラ輝くような、綺麗な所作が印象的でした!

68.28 SB

2.小田垣櫻(オダガキサクラ)選手 日本大学

SP:Luv Letter(演奏:DJ Okawari)
SP振付:岩本英嗣

今季シニアデビューし、全日本の最終予選である東日本選手権(日本大学は東日本所属になります)でFSで順位を大きく上げ、大逆転で出場権を掴み取りました。
小田垣選手の母でコーチでもある、小田垣香奈子先生は、現役時代全日本選手権に出場、NHK杯に出場経験もあります。そう、親子2代で全日本の舞台に立つことが叶ったのです!

母と川越正大コーチに送り出され、演技スタート。冒頭は今季意欲的に挑戦している3A!惜しくも転倒となりましたが、他のジャンプは着実に決めました!

小田垣選手の最大の魅力は、ただ音楽に身を委ね滑るだけで、観客をぐっと世界観に引き込めるところだと感じてます!最後のStSqはその持味を、全日本という大きな舞台で発揮しているところに感動しました!

54.55 SB

3.田内誠悟(タウチセイゴ)選手 富士FC

SP:Hidden Machinations(演奏:Eternal Eclipse)
SP振付:安藤美姫

ジュニアから推薦で出場を果たした選手です。今回が2度目の出場となります。JGPに出場経験のある選手です。

10月から世界選手権優勝経験のある安藤美姫先生に本格的に師事し、急ピッチで調整して、全日本という大きな舞台に立ちました。プログラムもSP・FS共に急遽作り変えました。

出来るジャンプを着実にこなしつつ、ダークな曲調、激しく鳴り響く音を捉えた演技が印象的でした!独特なしなやかさが3階席にも、はっきりと見えました!

63.89

4.蛯原大弥(エビハラダイヤ)選手 明治神宮外苑FSC

SP:Etude for the Dreamer(演奏:ジェニファー・トーマス)
SP振付:佐藤紀子

ジュニアから推薦で出場を果たした選手です。今季は大躍進のシーズン!JGPに2戦派遣され、いずれも3位表彰台に立つという活躍を見せています!全日本は今回が初出場となります。

冒頭のアクセルジャンプは、ここ最近は2Aに抑えていたところを、3Aに戻して転倒となりました。次のジャンプは3F+3Tにしていたところを3Loにしました。コンビネーションジャンプは3Lz+3Tに選択しました!ジュニアのSPのルールでは、シーズンによって単独のジャンプの種類が決められています。今大会はシニアのルールで行い、シニアはそのようなことがないのです。確実にSPを通過するため、本人の傾向を踏まえ、ジャンプ構成を大きく変える作戦に出たものと思われます。

蛯原選手は元々の踊り心に加え、大会での経験、様々な選手の良いところを吸収し、滑りに素直に反映する力の大きさに魅力を感じています。樋口新葉選手、住吉りをん選手、三浦佳生選手といった国際大会で活躍する選手と同じコーチに師事しているという影響も大きいと思われます。大会を重ねるごとに、演技に深みが増していき、観るのが楽しみになる選手です。

今回の演技は、ピアノの音色を繊細に、かつ力強く表していく姿が印象的でした!

61.85

5.周藤集(ストウツドイ)選手 ID学園高等学校

SP:Per Te(歌:ジョシュ・グローバン)
SP振付:キャシー・リード

ジュニアから推薦で出場を果たした選手です。今回が2度目の出場となります。今年の全日本ジュニア選手権で3位という立場で挑みます。

デニス・テン氏が憧れと公言していて、この曲はデニス氏かエキシビジョンで使用していた曲でもあります。選曲背景や、練習には先ほどのこともあるのかもしれません。

周藤選手は、肩甲骨から差し出される腕の動き、大きな上体のしなりから生み出される演技に泣かされるのですよ!曲が最も盛り上がるところで配置したStSqでは、持味を最大限堪能できるところです。この動きに、毎度毎度感動させられます。

74.61 SB

6.西野太翔(ニシノタイガ)選手 神奈川FSC

SP:帰ってほしいの(歌:ジャクソン5)
SP振付:佐藤操

ジュニアから推薦で出場を果たした選手です。今季がジュニアデビューであります。

ジャクソン5の名曲を中学2年生という今だからこそ演じられる選曲だと感じてます!

2本目のジャンプを3F+3Tにしていたところを、3Lz+3Tに変更しました。これも蛯原選手の時に触れた、ジュニアSPのルールの縛りがなくなったことを受けた変更だと思われます。最後のジャンプは3Fを狙ったものの2Fになり、シニアの場合は無得点となります。

ノリノリに踊ると同時に、所々で体幹の強さを感じさせる動きに驚かされます!たとえばStSqの際に予想外のタイミングで足を高く上げるところですね。

FSでは、一転してダークさと繊細さを感じる、対照的なプログラムとなっているので、ぜひというところです!

50.77

次は第2グループ7~12番の感想です。

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東日本フィギュアスケート概論2022

【2022年版】東日本フィギュアスケート概論 第11講 栃木編

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!

東日本フィギュアスケート概論シリーズ第11講、栃木編を始めます!(過去同シリーズは→2019年2021年)
依然有観客での大会が限られる中、2021-22シーズンは五輪もあって、フィギュアスケートに注目が集まりました。一ローカルフィギュアスケートファンとして、普段拝見する機会が多い東日本の選手の魅力をもっと知ってほしいと、講義という名のもと、記事を書かせていただきます!

北海道から始まったこの東日本概論シリーズ、第9講の長野・山梨編から関東ブロックの紹介に入っています。第10講は茨城編で、第11講の今講座は当初『栃木・群馬編』で予告してましたが、都合上栃木と群馬で独立して講義をすることになりました。全中・インハイ・国体を栃木代表で出場した選手を紹介します。

(これまでの講義の一覧はこちらから)

※所属クラブは2022年7月時点で、一般に公開されているものを基準にしてます。プログラム名は2021-22シーズンのものを表記してます。

それではいきましょう!!!


No.57 丸山英希選手 (マルヤマ ヒデキ)

所属 栃木県スケート連盟
プログラム
SP 映画『アラジン』より
FS 映画『シャーロック・ホームズ』より
昨季主な成績
第71回全国高等学校スケート選手権大会 22位

栃木県内の高校に通い、埼玉県にあるリンクに所属するコーチに師事している2年生の選手です。今年2月に行われたインターハイではバッジテスト5級ながら、決勝(FS)進出を果たしました。その後6級を取得したため、今季からブロックでジュニアカテゴリーにエントリーできるようになりました。

今成長著しい丸山選手。軽いフットワークから、踊り心溢れる演技が強く印象に残る選手です。

昨季のSPは、『フレンド・ライク・ミー』を中心に使っています。フレンド・ライク・ミーの部分に切り替わった途端、ひょうきんなジーニーが見えてきます。1番最後にステップシークエンス(StSq)を配置して、ジャッ時アピールをビシバシ決め、軽快な演技が魅力的でした。今季は新しいプログラムに変えて挑む予定です。どんなプログラムなのか楽しみです。

昨季のFSは、1番最初のエレメンツにフライングシットスピン(FSSp)を配置した少々珍しい構成となっております。最後まで体が動き、一つ一つのポーズをしっかり決め、持前の踊心を発揮したプログラムが印象的でした。

それでは、参考までに2022年インターハイの公式アーカイブ映像をご覧ください↓

参考
出典:日本スケート連盟HP 地方競技会 神奈川
関東・サマートロフィー2022 エントリー クラス細分結果 7月9日 訂正版
映像
出典:インハイTV YouTubeチャンネル
SP(3:30:02~3:35:00、指定された時間から再生します)
FS(32:51~38:42、※解説有、指定された時間から再生します)

今季本格的にジュニアにデビューするので、大会で演技を拝見できる機会が増えるのが楽しみです。どうかステイヘルシーに、思う存分に滑れることを願ってます。

No.53 平田大和選手 (ヒラタ ヤマト)

所属 宇都宮フィギュアC
プログラム
SP YAMATO(演奏:竜馬四重奏)
FS ミュージカル・映画『レ・ミゼラブル』より
昨季主な成績
第77回国民体育大会冬季大会 スケート競技会 フィギュア競技 成年男子 25位

栃木県内の大学に通い、今年度は4年生になり、現役ラストシーズンとして挑んでいます。宮城県出身で、宮城FSCに所属していました。高校進学と同時に宇都宮市に転居して以来、栃木代表の選手として活躍してきました。
バッジテスト6級と年齢の事に加え、コロナ禍とあり、大会にエントリーし演技を披露する機会がほとんど無い状況でした。今年1月の国体で、オンライン上とはなりますが演技を披露する事が出来ました。

栃木のエンターテイナー
として、ローカルファンに愛されている選手だと感じてます。
どんな時も、音に対して全力で応えていく演技を披露する選手です。

SPはお名前と同じ曲名を選びました。和楽器とヴァイオリンで構成する4人グループの曲です。しっとりとした和のメロディーから始まり、途中の掛け声からテンポアップする所で、音ハメのオンパレードが待ち受けるプログラムです。速いテンポを捉えた腕の振りが大きな見所です。1番最後の要素にStSqを配置し、最後までエネルギッシュに駆け抜けていく姿が強く印象に残ります。今季も継続して使用する予定です。

FSはドラマチックに、全力で世界観を描く姿に感動するプログラムです。終盤の民衆の歌を充て、StSq、コレオシークエンス(ChSq)はパワフルに、意思の強さを感じさせます。1番最後にダブルアクセル(2A)を配置し、ジャンプを降りた直後にフィニッシュする構成となっております。

アーティストの公式YouTubeチャンネルに投稿されているSPの音源のMVと、SPのみとなりますが、地元日光で行われた2022年1月の国体の公式アーカイブ映像をご覧ください↓

参考
出典:日本スケート連盟HP 地方競技会 神奈川
関東・サマートロフィー2022 エントリー クラス細分結果 7月9日 訂正版
音源
出典:竜馬四重奏オフィシャル
[MV]YAMATO / 竜馬四重奏
映像
出典:国体チャンネル
SP 1月25日スケート(フィギュア) (15秒のCMのあと)2:52:13~2:57:26

どうか望む道に進み、思い描くラストシーズンとなることを願ってます。もしも叶うなら、1つでも多くの大会で拝見できればと思っています。


次のページにも続きます。ぜひご覧ください💨

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東日本フィギュアスケート概論2022

【2022年版】東日本フィギュアスケート概論 第10講 茨城編

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!

東日本フィギュアスケート概論シリーズ第10講、茨城編を始めます!(過去同シリーズは→2019年2021年)
依然有観客での大会が限られる中、2021-22シーズンは五輪もあって、フィギュアスケートに注目が集まりました。一ローカルフィギュアスケートファンとして、普段拝見する機会が多い東日本の選手の魅力をもっと知ってほしいと、講義という名のもと、記事を書かせていただきます!

北海道から始まったこの東日本概論シリーズ、第8講で新潟編で東北・北海道ブロック編が完結しました。第9講の長野・山梨編から関東ブロックの紹介に入っています。第10講は茨城編です。全中・インハイ・国体を茨城代表で出場した選手を紹介します。

(これまでの講義の一覧はこちらから)

※所属クラブ等のデータは2022年3月時点で、一般に公開されているものを基準にしてます。4月から所属先等変更がある場合は併記します。

それではいきましょう!!!


No.50 花田実優選手 (ハナダ ミユウ)

所属 宇都宮フィギュアC
プログラム
SP コットン・アイ・ジョー
FS マラゲーニャ
今季主な成績
2021年関東選手権 ジュニア 12位
第42回全国中学校スケート大会 35位

茨城県内の中学校に通う3年生の選手です。隣県の栃木県内に本拠点に置くクラブに所属しています。今季がジュニアデビューシーズンでした。ブロック大会に、全中は茨城代表で出場を果たしました。

ひとたび演技を観れば、キレのある動き、そしてなんといっても
キュートなスマイル
に心を奪われること間違いありません。
リンクを目いっぱい使い、最初から最後まで踊っている姿が観ていて爽快な選手です。
エレメンツ面での成長が著しく、昨季はトリプルジャンプを組み込んでいなかったとことが、今季サルコウを決め、更に全中ではループとフリップに挑んでいました。

SPは現役時代親日家のスケーターとして知られていたショーン・ラビットさん振付です。北米の民謡として知られている曲で、黄色いフリンジが沢山付いた衣装がまず目につきます。
アップテンポな曲に合わせ、最初から最後まで動きまくる、踊りまくる、とにかく可愛い!!と言いたくなるプログラムです。
フィニッシュでピストルを撃つような振付は反則ですと言いたくなります。

FSは冒頭に口ずさみながら滑っているように見え、フラメンコの曲に合わせ、凜とした動きが印象的なプログラムです。

今年度は進路の年となります。来季は、どんなプログラムを披露するのか非常に楽しみです。笑顔輝く演技を沢山拝見できる機会に恵まれることを願ってます。

No.51 塙雪月花選手 (ハナワ キララ)

所属 笠松FSC
プログラム
SP 月光(作曲:ルードヴィヒ・ベートーヴェン)
FS 舞台『リバーダンス』より『ファイヤーダンス』
今季主な成績
第77回国民体育大会冬季大会 フィギュア競技予選会 少年女子 30位
第71回全国高等学校スケート選手権大会 73位

茨城県内の高校に通う2年生の選手です。県内を本拠点とするクラブに所属し、全中、インターハイ、国体で茨城代表として活躍してきました。東京五輪では聖火ランナーとして走り、ブロック大会に2度出場した実績があります。

難しそうな動きをしてから高く飛ぶジャンプに、運動神経の良さ感じる動き、美しいポジションのスピン、音に合わせた演じ分けが光る選手です。

今季新しくしたSPは、クラッシックのピアノソナタに挑戦しました。前半の静かなメロディーではしっとりと、後半テンポが上がったところでステップシークエンス(StSq)を持っていき、情熱を感じ、メリハリの効いた演技が印象的でした。

FSは2021年8月に行われた『関東サマートロフィー 2021 エントリー・使用曲・コーチ一覧』によると、長きにわたって継続して使用しているものの予定でした。ただコロナの影響で観れる回数が制限され、今季も一般のファンの前(オンライン上を含む)で披露できる機会がないままとなりました。

SPのみとなりますが、2022年インターハイの公式アーカイブ映像をご覧ください↓

参考
出典:フジスケHP
関東サマートロフィー 2021 エントリー・使用曲・コーチ一覧
映像
出典:インハイTV YouTubeチャンネル
SP(1:43:58~1:49:27、指定された時間から再生します)

長きにわたり通年リンクの無い茨城で、コツコツと練習を積み重ねていました。来季は沢山拝見できる機会に恵まれ、一つでも多く成果を発揮できることを願ってます。

No.52 猪股早哉子選手 (イノマタ サヤコ)

所属 駒場学園高校→?
プログラム
SP ラ・ヴィ・アン・ローズ(歌:ルーシー・トーマス)
FS シェヘラザード→ユー・レイズ・ミー・アップ(歌 ケルティック・ウーマン)
今季主な成績
2021年東京選手権 選手権 20位
第77回国民体育大会冬季大会 フィギュア競技予選会 少年女子 4位
第71回全国高等学校スケート選手権大会 18位

3月に高校を卒業しました。明治神宮外苑スケート場やKOSE新横浜スケートセンターを中心に練習を積み重ねています。全中やインターハイは東京代表、国体は茨城代表で出場してきました。
過去に東日本ジュニア選手権に出場、インターハイで2年連続決勝に進出した実績があります。

一度見たら忘れられない
純白なスケーティング
が最大の持味です。深いエッジを使っていて、身のこなしが美しく、もうスケーティングだけであっても永遠に見続けたいと思わせる選手です。

今季新しくしたSPは、シャンソンに初挑戦しています。日本では『バラ色の人生』としても知られているエディット・ピアフの名曲を、ルーシー・トーマスがカヴァーした音源を使用しています。
まず、スタートポジションを取る時から目を惹きます。衣装のバックのデザインの良さが綺麗さを増しています。
歌詞を一つ一つ丹念に拾った動きで、思いを伝えていき、見ごたえのある演技でした。見惚れていたら、もう、あっという間でしたね。

最初のFSは今季新しくしたものです。スケートのタッチの柔らかさ、芯の強さが曲とマッチしていて、もはや幻想的でした。透明感あり、優しく、可憐な演技が印象的でした。
インターハイの時までには、2017-18シーズンの途中から2020-21シーズンまで長きにわたって使用したプログラムに戻しました。美しいヴォーカルに合わせ、優雅に奏でるような滑りが極上の一時に感じることでしょう。猪股選手と言えばこのプログラムとなりましたね。

出典:インハイTV YouTubeチャンネル
SP(29:39~35:42、指定された時間から再生します)
FS(57:21~1:04:26、※解説有、指定された時間から再生します)
※ジュニア課題での実施

この春から大学生になったということで、進路が気になるところです。来季以降どんなプログラムを披露するのか楽しみにしてます。どうかステイヘルシーに、充実した大学生活とスケート人生となりますように。


次のページにも続きます。ぜひご覧ください💨

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東日本フィギュアスケート概論2022

【2022年版】東日本フィギュアスケート概論 第9講 長野・山梨編

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!

東日本フィギュアスケート概論シリーズ第9講、長野・山梨編を始めます!(過去同シリーズは→2019年2021年)
依然有観客での大会が限られる中、2021-22シーズンは五輪もあって、フィギュアスケートに注目が集まりました。一ローカルフィギュアスケートファンとして、普段拝見する機会が多い東日本の選手の魅力をもっと知ってほしいと、講義という名のもと、記事を書かせていただきます!

北海道から始まったこの東日本概論シリーズ、第6講第7講は宮城、第8講で新潟編で東北・北海道ブロック編が完結しました。第9講の今講座から関東ブロックの紹介に入ります。まずは長野と山梨からです。長野と山梨それぞれの県のスケート連盟に所属選手(3月まで含む)や、全中・インハイ・国体代表歴のある選手を紹介します。

(これまでの講義の一覧はこちらから)

※所属クラブ等のデータは2022年3月時点で、一般に公開されているものを基準にしてます。4月から所属先等変更がある場合は併記します。

まずは長野の選手からいきましょう!!!


No.43 井口せな選手 (イグチ セナ)

所属 東海大諏訪高校
プログラム
SP River Flows in You(演奏:イルマ)
FS 映画『ロミオとジュリエット』より
今季主な成績
2021年関東選手権 ジュニア 11位
第77回国民体育大会冬季大会 フィギュア競技予選会 少年女子 13位
第71回全国高等学校スケート選手権大会 39位

長野県を主に練習を積み重ねる高校2年生の選手です。
2018年に長野県で行われたアイスショー『Heroes & Future 2018 in NAGANO』でソロ演技を披露、全中・インハイ・国体で長野代表として活躍してます。

ディープエッジで滑りつつ軽やかで、エレガントな所作が随所に光り、どの瞬間も見所な演技を披露する選手です。

今季はSP・FS共に新しいプログラムにしました。

SPはピアノの美しい音色を繊細に拾った滑りが目を惹きます。冒頭からの動きに注目していたいです。しなやかな動き、清らかなスケーティングと美しい一時を描く姿が印象的です。

FSはフィギュアスケートでは王道のプログラムを選びました。1番最後のエレメンツにジャンプを持っていき、着氷してすぐにフィニッシュポーズを決める構成となっております。
優美な所作でドラマチックに描く演技が印象的でした。

SPのみとなりますが、2022年インターハイの公式アーカイブ映像をご覧ください↓

出典:インハイTV YouTubeチャンネル
SP(1:01:01~1:06:40、指定された時間から再生します)

指先までしっかりと綺麗で、観て気持ちの良い選手ですね。今はリンクが閉鎖している時期となりますが、どうか上手く練習でき、また来季演技を拝見するのを楽しみにしてます。

No.44 大久保政宗選手 (オオクボ マサムネ)

所属 長野日大高校
プログラム
SP 映画『ヘンリー五世』より
FS 映画『遥かなる大地へ』より
今季主な成績
2021年関東選手権 ジュニア 3位
第38回東日本ジュニア選手権 12位
第77回国民体育大会冬季大会 フィギュア競技予選会 少年男子 9位
第71回全国高等学校スケート選手権大会 30位
第77回国民体育大会冬季大会 スケート競技会 フィギュア競技 少年男子 22位

長野県内にある私立高校ではトップの進学校に通いながら、競技に取り組んでいます。4月から2年生になりました。
2018年に長野県で行われたアイスショー『Heroes & Future 2018 in NAGANO』でソロ演技を披露、2020年全日本ジュニア選手権に出場した実績がある選手です。

大久保選手の演技を見ると真っ先に
ノーブルさ
が印象に残ります。所作が非常に上品で、なぜだか光って見えるのですよ。エレメンツの間に多彩な技を取り入れ、それらをシームレスに滑りこなし、見ごたえのある演技を披露しています。

昨季は2種類のトリプルジャンプだったところを、トリプルルッツ(3Lz)を構成に組み込む大会もありました。今季はSP・FS共に新しいプログラムにしました。

SPは、鍵山優真選手(オリエンタルバイオ/中京大学)の振付を多く手掛けていた佐藤操先生に初めて依頼しました。
スタートのポーズからスマートさが満ち溢れ、上品な所作を活かした振り付けの数々に見惚れていきます。群衆のコーラスの曲にステップシークエンス(StSq)を充て、盛り上がる所でイーグルは大正義!と言いたくなるのですよ。もう、映画のタイトルの通りの王子様です。

FSは前のFSと同じく、駒場幸大先生が振り付けました。前回は映画『ミッション』よりの『ガブリエルのオーボエ』が流れていたら、最後の最後で映画『アンタッチャブル』よりのサウンドトラックが流れて観客を驚かせてしまうプログラムでしたね。今回は映画『遥かなる大地へ』より『The Land Race』を中心に使用しています。
スタートのポーズから凛々しさが伝わってくるでしょう。バレエジャンプをしてからジャンプなどを、常にアクティブな振り付けをこなしながら、壮大なドラマを描く姿が強く印象に残ります。正統なカッコよさに溢れるプログラムです。

どんな演技なのか気になるかと思いますよね。ここはぜひ、2022年国体の公式アーカイブ映像をご覧ください↓

出典:国体チャンネル
SP 1月24日スケート(フィギュア) (15秒のCMのあと)7:04:22~7:09:53
FS 1月25日スケート(フィギュア) (15秒のCMのあと)3:38:25~3:44:21

真面目で、品の良い演技がもう眼福ですね!来季もどうかステイヘルシーに、磨き上げた演技を披露できることを願ってます。

No.45 入江美友選手 (イリエ ミユ)

所属 Mエイトクラブ
プログラム
SP サーカス『O』より(演奏:シルク・ドゥ・ソレイユ)
FS 映画『ちはやふる ‐結び-』より『つながれ つながれ! つながれ!!』
今季主な成績
2021年関東選手権 ノービスA 3位
第25回全日本ノービス選手権大会 ノービスA 12位
第42回全国中学校スケート大会 15位

長野県内の学校に通い、山梨を主な拠点とするクラブに所属する中学2年生の選手です。来季から本格的にジュニアに参戦します。
全日本ノービス選手権に2年連続で出場、今季はブロック大会で表彰台、更には全中では長野県代表として出場し、FSに進出と飛躍のシーズンとなりました。

腕の動きの美しさがとりわけ目を惹き、表情豊かな演技が持味の選手です。昨季はトリプルジャンプがサルコウと1種類だったところを、ルッツとフリップを構成に組み込んで一気にレベルアップしました。

全中で一般のファンの前(オンライン上)で初披露となったSPは、シルク・ドゥ・ソレイユのサーカス演目『O』より2曲をつないだ音源を使用してます。前半は、綺麗な音色を拾って、しなやかに動き、後半『Tzelma』の所でStSqを充て、全身を大きく使い、躍動感溢れる滑りを披露するというメリハリが印象的でした。

今季新しくしたFSは、競技かるたを主題にした映画のサウンドトラックの中から1曲のみを使用しています。スケートでちはやふるの使用は珍しいです。
膝立ちの状態からスタートし、柔らかな音楽に合わせ、情景を伝えていく演技が印象的でした。おそらく、かるたをしている中で感じたことを表現しようとしてるのではと思いました。

来季から本格的にジュニアに参戦するということで、どんな演技を披露するのか楽しみにしてます。どうかステイヘルシーに、来季も力を発揮できますように。


長野は以上です!綺麗なスケーティングと所作の両方で魅せる選手が多いと感じています。
次のページは山梨の選手の紹介です。ぜひご覧ください💨

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東日本フィギュアスケート概論2022

【2022年版】東日本フィギュアスケート概論 第8講 新潟編

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!

東日本フィギュアスケート概論シリーズ第8講、新潟編を始めます!(過去同シリーズは→2019年2021年)
依然有観客での大会が限られる中、2021-22シーズンは五輪もあって、フィギュアスケートに注目が集まりました。一ローカルフィギュアスケートファンとして、普段拝見する機会が多い東日本の選手の魅力をもっと知ってほしいと、講義という名のもと、記事を書かせていただきます!

北海道、青森、第5講は秋田・岩手、第6講第7講は宮城の選手を取り上げました。第8講の今講座では新潟編、そして東北・北海道ブロック編最終講となります。新潟県スケート連盟所属選手や、国体新潟代表選手を紹介します。

(これまでの講義の一覧はこちらから)

※所属クラブ等のデータは2022年3月時点で、一般に公開されているものを基準にしてます。4月から所属先等変更がある場合は併記します。

それでは行きましょう!!まずは中学生の選手からです。



No.37 武田結仁選手 (タケダ ユウジン)

所属 アイビスSC
プログラム
SP 不明
FS Way Down We Go(歌:カレオ)
今季主な成績
2021年東北・北海道選手権 ノービスA 6位
第25回全日本ノービス選手権大会 ノービスA 6位

4月から中学生になりました。新潟市内を中心に練習を積み重ねています。
2019年から3年連続で全日本ノービス選手権で入賞してきた実績のある選手です。来季から本格的にジュニアに参戦する予定です。

武田選手は、
踊りにずっと注目していたい
と思うほど、音を捉えて動きに転換するセンスが傑出しているのです。またエレメンツも表現の1つとして溶け込ませ、年々高難度化が進んでいます。今季は5種類のトリプルジャンプ、更にはコンビネーションジャンプのセカンドジャンプをトリプルトゥループ(3T)を組み込んだ構成に挑んでいました。

ノービスになってからは、映画『コーラスライン』より、『ドント・ストップ・ミー・ナウ』とアップテンポで明るい曲を選んでいました。そう考えると、今季新しくしたFSは、今までのイメージを大きく覆す曲を選んだと感じました。スローテンポで独特な曲に筆者は大変驚きました。音の取り方が非常に難しい曲を、いとも簡単そうに、クールに踊りこなしていく姿に度肝を抜かれました。

SPは新潟県内で行われたローカル大会で披露しているものの、無観客のため一般にはまだ曲名すら分からない段階です。FSは難しい曲を高い表現力で滑りこなしていることを考えると、一体どんな曲を選び、どんな構成で、どんな振付なのか非常に気になります。

先ほどからFSの曲が難しいと書いていますので、FSの曲のMVをご覧ください↓

出典:KALEO
KALEO – Way Down We Go (Official Music Video)

来季はSPも拝見できるチャンスが訪れるはずです。武田選手の抜群な踊りのセンスを沢山拝見できる回数が増えると思うと、とてもワクワクしますね。どうかステイヘルシーに、今度こそは現地で沢山の観客を魅了する演技を披露出来ますように。

No.38 金子ヒロ選手 (カネコ ヒロ)

所属 新潟FCKZ
プログラム
SP 映画『アルマゲドン』より『ミス・ア・シング』
FS 映画『ピンク・パンサー』シリーズより
今季主な成績
2021年東北・北海道選手権 ノービスA 3位
第25回全日本ノービス選手権大会 ノービスA 32位
第42回全国中学校スケート大会 22位

4月から中学2年生になります。季節リンクの柏崎市を中心に練習を積み重ねています。先ほど紹介した武田選手と共に、激戦のブロックを4年間勝ち上がって全日本ノービス選手権に出場してきました。来季から本格的にジュニアに参戦する予定です。

綺麗な所作からにじみ出る踊り心で、ファンを惹きつけていく選手です。

全中にて一般のファンの前(オンライン上)で初披露となったSPは、エモーショナルな曲に合わせて、自分の思いの丈をぶつけた演技が強く印象に残ります。勢いありつつ、洗練された所作が光ってましたね。

昨季から継続のFSは、振付と共に、衣装にも注目のプログラムでした。コミカルに滑っていると、中盤で突然衣装が変わるという仕掛けが施されていたのです。技と技のつなぎにも様々な動きがあり、遊び心満載な踊りが観ていて楽しい演技でした。

来季からは本格的にジュニアということで、演技を拝見できる機会が増えそうですね。どんなプログラムを披露するのか、非常に楽しみにしてます。どうかステイヘルシーに、調整できますように。

No.39 岡本和彩選手 (オカモト カイ)

所属 アイビスSC
プログラム
SP ユーアー・ザ・リーズン(歌:カラム・スコット&レオナ・ルイス)
FS シー・ユー・アゲイン(歌:ウィズ・カリファ)
今季主な成績
2021年東北・北海道選手権 ジュニア 1位
第38回東日本ジュニア選手権 16位

4月から中学3年生になりました。今季ジュニアデビューした選手です。
2020年全日本ノービスAクラスで8位入賞、今季ブロック大会で優勝と活躍しています。

スピードを全く落とさずにジャンプを跳ぶ姿にまず驚き、体のしなりを活かし独自の世界を表現する姿に心奪われることでしょう。
これまで、映画『ヒックとドラゴン』より、ドラマ『JIN-仁-』より、『Steps(演奏:シークレット・ガーデン)』と、シーズンごとに違う曲調にチャレンジし、自分のモノにしていました。
今季一般のファンの前で初披露となったSP、新しくしたFSは、どちらもプリンス・アイス・ワールドのキャストとして活躍する小平渓介さんが振付ました。驚くほど大人びた演技に沢山のファンを驚かせました。

SPは村元哉中選手/髙橋大輔選手組(関西大学KFSC)がEXで使用したことによって、話題となった曲ですね。ボーカルの呼吸としっかりと合わせながら、垢抜けた所作の数々で魅了していくプログラムでした。最後のポーズが斬新で、見終わったあとの余韻が響いていくのですよ。SPだけを観ても、衝撃が走りましたね。

FSは宇野昌磨選手(トヨタ自動車)がEXで使用していた曲としても知られています。雨が降る音から始まり、スピードをガンガンに出してジャンプを跳びつつ、ボーカルのパッションを受け止めてまた外に思いを伝えていく演技に引き込まれます。小平さんの振付は、ユニークさがありながらも美のツボをしっかり押さえている動きが印象に残るのですよ。岡本選手の美しい体のしなりとマッチして、強烈なインパクトを残していきました。どんな結果であっても、終わった後に響くものがありましたね。

SPとFSの曲のMVが、アーティスト公式YouTubeチャンネルに投稿されていますので、参考までにご覧ください↓

参考
出典:フジスケHP
東北・北海道ブロック 選手情報詳細
映像
SP音源
出典:Calum Scott
Calum Scott, Leona Lewis – You Are The Reason (Duet Version)

FS音源
出典:Wiz Khalifa
Wiz Khalifa – See You Again ft. Charlie Puth [Official Video] Furious 7 Soundtrack

一つ一つの歌詞の意味を大切にし、滑っていく姿に心打たれたシーズンでありました。昨年12月の大会を棄権して以降は、大会へのエントリーがありません。どうかステイヘルシーに、来季演技を拝見できることを願い、楽しみにしてます。


個人的に、『新潟の踊る三銃士』と呼んでいる選手の紹介でした。踊り心の方向性が三者三様で、観ていて面白い選手達です。
次のページ高校・大学生の選手の紹介です。ぜひご覧ください💨

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東日本フィギュアスケート概論2022

【2022年版】東日本フィギュアスケート概論 第7講 宮城編part2

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!

東日本フィギュアスケート概論シリーズ第7講、宮城編part2を始めます!(過去同シリーズは→2019年2021年)
依然有観客での大会が限られる中、2021-22シーズンは五輪もあって、フィギュアスケートに注目が集まりました。一ローカルフィギュアスケートファンとして、普段拝見する機会が多い東日本の選手の魅力をもっと知ってほしいと、講義という名のもと、記事を書かせていただきます!

北海道、青森、第5講は秋田・岩手の選手を取り上げました!第6講から2回に分けて宮城の選手を取り上げます!第7講の今回は宮城編最終講となります。4月から高校2年生~大学生になる、宮城県スケート連盟に所属する選手を紹介します。

(これまでの講義の一覧はこちらから)

※所属クラブ等のデータは2022年3月時点で、一般に公開されているものを基準にしてます。4月から所属先等変更がある場合は併記します。

それでは行きましょう!!



No.31 藤﨑鈴選手 (フジサキ スズ)

所属 東北高校
プログラム
SP アルメニア・ラプソディ
FS ピアノ協奏曲第2番 ハ短調(作曲 セルゲイ・ラフマニノフ)
今季主な成績
2021年東北・北海道選手権 選手権 8位
第71回全国高等学校スケート選手権大会 75位

宮城県内を中心に練習を積み重ねている高校3年生の選手です。
今季シニアデビューを果たしました。
昨季はジュニアカテゴリーで東日本に進出した実績があります。

パワフルでかつ足さばきスムーズなスケーティングから、繰り出されるダイナミックなジャンプ、表現が持味です。

SP・FS共に昨季から継続のプログラムになります。

SPではエキゾチックな曲に合わせた滑りが印象的でした。パリッとした音にしっかりと合わせ、ダイナミックな演技に圧倒されました。スピンやジャンプの位置が大幅に変更されていました。
FSではゆったりとした曲に合わせて、壮大なスケール感を描いていく姿が印象的でした。力強さのなかにも優美さがあり、クラシックのメロディーの調べに乗せた演技でした。

SPのみとなりますが、2022年インターハイの公式アーカイブ映像をご覧ください↓

出典:インハイTV YouTubeチャンネル
SP(3:23:16~3:28:13、指定された時間から再生します)
※ジュニア課題での実施

来季は進路を決める大事な年、どうかステイヘルシーに、納得のいく道を選べることを願ってます。可能であれば、来季もまた演技を拝見できる時を楽しみにしてます。

No.32 森本美羽選手 (ナカガワ リョウ)

所属 東北高校
プログラム
SP 映画『ラストエンペラー』より『Rain』
FS 映画『グレイテスト・ショーマン』より『Never Enough』
主な成績

2021年東北・北海道選手権 ジュニア 7位
第38回東日本ジュニア選手権 26位
第71回全国高等学校スケート選手権大会 40位

宮城県内を中心に練習を積み重ねている高校3年生の選手です。
バッジテスト6級のため、ミニマムポイントを突破した上で、ブロック大会に出場しました。今季東日本に進出を果たす等大飛躍のシーズンとなりました。

コンビネーションジャンプのセカンドジャンプにループを取り入れています。正確で丁寧な滑り、そして最大の見所はスピンです。軸が細く1点で回り、回転速度が速く、綺麗なポジションで回るスピンがプログラムを引き締め、大きな見せ場となっています。

昨季から継続のSPは、美しいメロディーに乗せ、たおやかに舞う姿が美しいと感じるプログラムです。まるで1本の線で繋がったような、エレガントな世界観に目を惹かれます。

今季新しくしたFSは、映画『グレイテスト・ショーマン』の名曲の1つ『Never Enough』をほぼ1曲使用した音源となっています。SPでよく単独で使われていますが、FSで単独で使用するのは珍しいと感じました。
後半3つのジャンプ全てをコンビネーションジャンプにし、要所で得意のスピンでフライング足替えコンビネーションスピン(FCCoSp)も含め、レベルをしっかりと取っていく構成にしています。
女性ボーカルに合わせ、美しくしなやかに思いを伝える姿が印象に残ります。

SPのみとなりますが、2022年インターハイの公式アーカイブ映像をご覧ください↓

出典:インハイTV YouTubeチャンネル
SP(25:42~30:25、指定された時間から再生します)

進路の年と重なる来季も、可能ならまた演技を拝見できればと願っています。どうか、この先もステイヘルシーに、美しい演技を披露出来ますように。

No.33 中川涼選手 (ナカガワ リョウ)

所属 仙台FSC
プログラム
SP Gopher/Drumdown Mambo(歌:イマ・スマック/Whethan Feat. Jasiah)
FS 映画『フィフス・エレメント』より『Diva Dance』
主な成績

2021年東北・北海道選手権 ジュニア 5位
第38回東日本ジュニア選手権 24位

宮城県内を中心に練習を積み重ねている、高校2年生の選手です。中学卒業後はN高校に進学しました。
2019年全日本ジュニア選手権に出場、ジュニアデビューシーズンから東日本に4年連続で出場という大きな実績のある選手です。

5種類の3回転ジャンプを飛べ、それぞれ大会で組み込んで挑戦できる力があります。軸が細くて回転速度が速く、特にエッジ系のジャンプでは飛び上がってから回転する『ディレイドジャンプ』で飛んでいます。
クールな雰囲気を醸し出し、多彩な表情と音を正確に捉えた動きが年々増してきています。

今季新しくしたSPは、前半はイマ・スマックの名曲『Gopher』を、後半に配置されたステップシークエンス(StSq)以降はGopherのアレンジ曲である『Drumdown Mambo』を使用しています。マンボのアップテンポにしっかりとハメた動きが、何度見ても楽しい!一度見たらクセになります。曲が切り替わってビートがかかり、もっとテンポが速い曲になると、更に盛り上がっていくプログラムでしたね。

FSは3シーズン継続して使用しています。映画『フィフス・エレメント』より『Diva Dance』をまるまる1曲使用しています。水色の体の宇宙人が、劇場でアリアを歌う場面で披露される曲です。今季はブロック大会と東日本でそれぞれ衣装が違っていました。
前半は不思議な感じを、後半ビートがかかってくると強くバシッと決めていく姿が目を惹きます。難しそうな曲を、クールに、スケール大きく、しなやかさも併せ持っている、そんな表現が印象的でした。

クールな雰囲気が非常に個性的に見え、1度見たら忘れられない選手です。来季はどんなプログラムを披露するのか、今からとても楽しみにしてます。

参考
出典:日本スケート連盟
第77回国少民体育大会冬季大会スケート競技会宮城県予選会 少年女子FSリザルト


次のページにも紹介が続きます。ぜひご覧ください💨

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東日本フィギュアスケート概論2022

【2022年版】東日本フィギュアスケート概論 第6講 宮城編part1

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!

東日本フィギュアスケート概論シリーズ第6講、宮城編part1を始めます!(過去同シリーズは→2019年2021年)
依然有観客での大会が限られる中、2021-22シーズンは五輪もあって、フィギュアスケートに注目が集まりました。一ローカルフィギュアスケートファンとして、普段拝見する機会が多い東日本の選手の魅力をもっと知ってほしいと、講義という名のもと、記事を書かせていただきます!

北海道から始まり、第4講は青森、第5講は秋田・岩手の選手を取り上げました!第6講の今回から2回に分けて宮城の選手を取り上げます!今回は4月から中学~高校1年生、宮城県スケート連盟を選手を紹介します。

(これまでの講義の一覧はこちらから)

※所属クラブ等のデータは2022年3月時点で、一般に公開されているものを基準にしてます。4月から所属先等変更がある場合は併記します。

それでは行きましょう!!



No.25 小山蒼斗選手 (オヤマ アオト)

所属 仙台泉F.S.C.
プログラム
SP 不明
FS ミュージカル『屋根の上のバイオリン弾き』より
今季主な成績
2021年東北・北海道選手権 ノービスA 2位
>第25回全日本ノービス選手権大会 ノービスA 19位

4月から中学生、来季から本格的にジュニアに参戦する予定です。今季初めてブロックを突破し、全日本ノービス選手権に出場しました。

ジャンプ面で、今季著しい成長を遂げ、大飛躍につながりました。昨季はジャンプ面で、今季著しい成長を遂げ、大飛躍につながりました。昨季は本番で入れた1番難しいジャンプがダブルルッツ(2Lz)だったところを、昨年8月に行われた『第13回七夕杯フィギュアスケート競技会』でダブルアクセル(2A)、3回転ジャンプまで一気に入れられるようになり、今年2月に行われた『第33回宮城県小学生大会フィギュアスケートフリー競技会』ではトリプルフリップ(3F)も成功させていました。

ふんわりと柔らかく、伸びやかな演技が魅力です。

今季FSは新しいものを披露しました。個人的には前のプログラムの映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズよりの衣装が印象に残っていましたね。コミカルな曲に合わせて、楽しそうに滑る姿が印象的でした。

SPはほとんど大会で披露する機会がなかったかと思います。来季以降は、2つのプログラムを試合で拝見できると思うと、とても楽しみにしてます。

参考
出典:日本スケート連盟HP
2020 東北・北海道選手権大会
出典:日本スケート連盟HP
第13回七夕杯フィギュアスケート競技会 ジャッジスコア
出典:日本スケート連盟HP
第33回宮城県小学生大会フィギュアスケートフリー競技会 ジャッジスコア

No.26 園田真央選手 (ソノダ マオ)

所属 仙台FSC
プログラム
SP Bom Bom(歌 Sam and the Womp)
FS 映画『シザーハンズ』より
主な成績
2021年東北・北海道選手権 ジュニア 19位

第42回全国中学校スケート大会 28位

宮城県内を中心に練習を積み重ねている中学3年生の選手です。
昨季はジュニアデビューシーズンで東日本に進出を果たし、今季は全中宮城県代表として活躍しました。

今季はジャンプをより難易度を上げ、3F、3Lzを投入し、果敢に挑戦しています。軽やかなタッチのスケーティングが印象的です。

プログラムは両方昨季から持ち越しました。SPとFSとの振れ幅が、特筆するべき大きな見所です。

SPは
元気溌剌とした踊り
に目を奪われること間違いありません。
赤い軍服風の衣装を着て、最初から最後まで、パワー全開で踊っていくプログラムです。ジャッジに積極的に、アグレッシブさをアピールしていく姿が観ていて気持ちが良いのです。現地でフォーフォー歓声上げまくりたかったところです。

そんなSPを観たら、FSは冷たく不思議な世界観にびっくりしまうでしょう。
両手がハサミになっている男と、少女との交流を描いた映画のサウンドトラックを使用しています。
今季衣装は変わって、黒がベースとなったことにより腕の動きがよりはっきりと見えるようになりましたね。
暗く、寒々しく、緩急があまりないように感じる曲に合わせ、体を大きく使って氷の世界観を表していく姿に圧倒されます。中々難しそうな曲を、スケール大きく演じていく姿を観ると、とてもいい意味でSPとは別人のように感じましたね。

SPの曲のMVが、アーティスト公式YouTubeチャンネルに投稿されていますので、参考までにご覧ください↓

出典:Sam and the Womp
Sam and the Womp | Bom Bom (Official Video)

曲調が極端に違うものを見事に滑りこなしていて、来季以降一体どんな曲を選ぶのか非常に楽しみです。どうかステイヘルシーに、演技を披露できますように。

No.27 瀬川穂乃選手 (セガワ ホノ)

所属 仙台FSC→?
プログラム
SP サーカス『キダム』より(演奏 シルク・ドゥ・ソレイユ)
FS オペラ『サムソンとデリラ』より
主な成績
2021年東北・北海道選手権 ジュニア 12位
第77回国民体育大会冬季大会 スケート競技会 フィギュア競技 少年女子 20位
第42回全国中学校スケート大会 22位

4月から高校生になりました。
昨季はジュニアデビューシーズンで東日本3位で、全日本ジュニア選手権に出場した実績があります。今季は国体と全中で宮城県代表として活躍しました。

ループとアクセルを除いた3回転ジャンプ、更に昨季はトリプルトゥーループ+トリプルトゥーループ(3T+3T)を本番で挑む力のある選手です。軸が安定して、ポジションがスムーズで綺麗なスピンも魅力の1つです。取り分け足替えコンビネーションスピン(CCoSp)の最後にリザーブドパンケーキのフリーレッグを持ち上げて、キャメルキャッチフットのポジションに持っていくのが個人的に好きですね。北ローカルファンの間では『マジカルスピン』て呼ばれてます。
1番の見所は、細かな音に合せた動きだと思っています。ちょっとしたターンでの体の動きだったり、スパイラル、振付が凝っていて見応えのある選手です。

2020年の全中の前辺りから継続して使用しているSPは、冒頭の振付からユニークさが満載のプログラムです。インパクトある振付をこなしながら、伸びやかな滑っていく姿に目を奪われるでしょう。軽快なメロディーに合せた、キダムの不思議な世界観を表していく姿が観ていて気持ちいいです。

今季新しくしたFSではエキゾチックなエッセンスを含んだ曲に挑戦しています。スピード感やエネルギッシュさの中に、細かい音ハメが盛り沢山なプログラムです。滑りの中に理知的な部分も感じています。フライング足替えコンビネーションスピン(FCCoSp)を構成に入れて、スピンの基礎点を上げ、曲の最後、1番盛り上がるところではCCoSpであのマジカルスピンを披露してプログラムを引き締めています。

実際に映像を見たほうが分かりやすいので、2022年1月に行われた国体の公式アーカイブをご覧ください↓

出典:国体チャンネル
SP 1月24日スケート(フィギュア) (15秒のCMのあと)1:40:15~1:45:08
FS 1月25日スケート(フィギュア) (15秒のCMのあと)7:42:12~7:53:11

進路先も少し気になるところです。細かい所に気を配った演技に大きな力を感じています。どうかステイヘルシーに、また拝見できる時を楽しみにしてます。


次のページにも紹介が続きます。ぜひご覧ください💨

カテゴリー
東日本フィギュアスケート特別講座2022

【2022年版】東日本フィギュアスケート概論 第5講 秋田・岩手編

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!

東日本フィギュアスケート概論シリーズ第5講、秋田・岩手編を始めます!(過去同シリーズは→2019年2021年)
依然有観客での大会が限られる中、2021-22シーズンは五輪もあって、フィギュアスケートに注目が集まりました。一ローカルフィギュアスケートファンとして、普段拝見する機会が多い東日本の選手の魅力をもっと知ってほしいと、講義という名のもと、記事を書かせていただきます!

第1講2講3講と北海道の選手、第4講は青森の選手を取り上げました!第5講の今回は、さらに南下して秋田と岩手の選手を取り上げます!全中、インハイ、国体で秋田県・岩手県代表として出場したことのある選手を紹介します。

(これまでの講義の一覧はこちらから)

※所属クラブ等のデータは2022年3月時点で、一般に公開されているものを基準にしてます。4月から所属先等変更がある場合は併記します。

まずは通年リンクがない秋田に所属する選手から行きましょう!!


No.21 鎌田明子選手 (カマダ メイコ)

所属 秋田県連
プログラム
SP 舞台『リバーダンス』より『ファイヤーダンス』
FS 韃靼人の踊り
今季主な成績
2021年東北・北海道選手権 ジュニア 29位
第77回国民体育大会冬季大会 フィギュア競技予選会 少年女子 19位
第71回全国高等学校スケート選手権大会 45位

4月から秋田県内の高校に通う2年生の選手です。
宮城県を拠点に練習している『仙台泉F.S.C.』を率いる田中総司コーチに師事しています。2019年春か夏ごろにバッジテスト6級を獲得して以来、3年連続でブロック大会出場、全中・国体・インハイ秋田代表として活躍しています。

パワフルなスケーティングとともに、シーズンを重ねるごとに成長した姿を見せている選手です。教えを着実に、忠実に滑る姿も魅力の1つです。

SPは少なくとも3シーズン継続しているプログラムです。振付はバンクーバー・ソチ五輪代表の鈴木明子さんによるものです。
至る所に独特でかつ、曲の世界観にぴったりな振付が印象に残ります。細かい動きも大きく、はっきりとアピールし、見ごたえあるプログラムです。

FSは様々な事情等により、オンライン含め一般のファンの前での披露が叶いませんでした。フジテレビスケートが出す、ブロック大会の選手情報一覧によると、新しいプログラムになっていました。振付はSPと同じく、鈴木明子さんが手がけました。
来季以降、拝見できる機会に恵まれることを祈ってます。

SPのみとなりますが、2022年インターハイの公式アーカイブ映像をご覧ください↓

参考
出典:フジスケHP
東北・北海道ブロック 選手情報詳細
映像
出典:インハイTV YouTubeチャンネル
SP(2:43:53~2:48:33、指定された時間から再生します)

中々練習環境が難しいと察しています。どうか、限られた中で上手く調整し、また演技を拝見するのを楽しみにしています。

No.22 安保咲野選手 (アンボ サヤ)

所属 秋田県連→?
プログラム
SP ミュージカル『クレイジー・フォー・ユー』より
FS 映画『007/ゴールドフィンガー』より
今季主な成績
2021年東北・北海道選手権 ジュニア 20位
第77回国民体育大会冬季大会 フィギュア競技予選会 少年女子 22位
第71回全国高等学校スケート選手権大会 76位

3月に高校を卒業しました。先ほど紹介した鎌田選手が通う高校の先輩でもあります。
高校卒業の時点では岩手・青森県を中心に指導する佐々木正徳コーチに師事していました。岩手県大会のオープンクラスに出場したこともあります。
2018年秋ごろにバッジテスト6級を獲得して以来、全中、インハイ、国体の秋田県代表として活躍しています。今季ブロック大会に初めて出場し、FSに進出しました。

パワフルでダイナミックな滑りとともに、スピンのポジションが的確で、軸の安定感が持味の選手です。動きから見て、体幹が強そうに感じています。

SPは3シーズン継続して使用しているプログラムです。コミカルな曲調を、ちょっぴりお洒落に、エネルギッシュな滑りで魅せるのが印象的でした。

FSはいつから使用しているか不明ですが、今季ブロック大会で、ようやく一般のファンに(オンライン上)で初披露となりました。持ち前の力強さを活かし、迫力ある演技が見所となっています。

SPのみとなりますが、2022年インターハイの公式アーカイブ映像をご覧ください↓

参考
出典:フジスケHP
東北・北海道ブロック 選手情報詳細
出典:日本スケート連盟HP
令和2年度岩手県スケート競技選手権大会
映像
出典:インハイTV YouTubeチャンネル
SP(4:43:54~4:48:50、指定された時間から再生します)

執筆時(5月下旬)には、SNS上で部員紹介する大学のスケート部に名前はなく、進路が気になるところです。もしも競技を続けるのであるのなら、今度は現地で拝見できることを願っています。


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