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東日本フィギュアスケート概論2022

【2022年版】東日本フィギュアスケート概論 第9講 長野・山梨編

東日本に所属するフィギュアスケート選手の魅力を紹介する『東日本フィギュアスケート概論』の2022年版。第9講から関東ブロックに入ります。第1弾は長野・山梨編をお届けします。井口せな選手、大久保政宗選手、入江美友選手、澤登早也香(サヤカ)選手、中本有咲選手、田中陽織(ヒオリ)選手、鈴木なつ選手を紹介します。

No.46 澤登早也香選手 (サワノボリ サヤカ)

所属 Mエイトクラブ→?
プログラム
SP 映画『ピンク・パンサー』シリーズより
FS 番組『情熱大陸』より
主な成績
2021年関東選手権 ジュニア 10位
第38回東日本ジュニア選手権 21位
第77回国民体育大会冬季大会 フィギュア競技予選会 少年女子 21位
第42回全国中学校スケート大会 16位

4月から高校生になりました。山梨県を中心に練習を積み重ね、今季は初めて東日本に進出、全中でFS進出と飛躍のシーズンとなりました。

ちょっと滑っただけで豊かな世界が広がり、観る者を惹きつけていく華やかさに溢れた選手です。

SPは昨季から継続のプログラムです。下向きから始まって起き上がる振りで動き出し、ピンク・パンサーの世界観を表すコミカルな振りが目白押しなプログラムです。ニヤリとした表情で、ジャッジにアピールしていく姿がたまりませんね。観ていて楽しい演技でした。

FSは今季新しくしました。ほんの一押しから、豊かなパッションが広がっていきそうな演技が眼福でした。芳醇な香りが画面越しでも伝わりそうな、奥が深いスケーティングを披露していていました。

山梨特産の甲州ぶどうのような滑りをする選手だと感じています。高校生になったということで、進路が気になるところです。どうかステイヘルシーに、来季も澤登選手らしい演技ができることを願ってます。

No.47 中本有咲選手 (ナカモト アリサ)

所属 山梨学院大学
プログラム
SP アニメ映画・ミュージカル『アナスタシア』より『Journey to the Past』→タンゴ
FS 映画『ロミオ+ジュリエット』より
今季主な成績
2021年関東選手権 選手権 2位
第47回東日本選手権大会 20位
第15回東日本学生フィギュアスケート選手権大会 7・8級クラス 14位
第77回国民体育大会冬季大会 フィギュア競技予選会 成年女子 11位
第94回日本学生氷上選手権大会 フィギュア競技 7・8級クラス 21位

高校卒業まで北海道札幌市を拠点に練習してました。第2講で紹介した佐藤妃依選手と同じクラブだった時期があります。山梨学院大学に進学すると同時に、山梨が主な拠点のMエイトクラブに移籍しました。
2017年全日本ジュニア選手権、2018・19年国体に北海道代表で出場した実績があります。成年カテゴリーになってからは、大学のある山梨代表として国体の予選会に出場しました。

どんな時も笑顔で滑りきれるという大きな強みと共に、様々な曲にチャレンジし多彩な表現をモノにした成長力を感じさせてくれます。エレメンツ面では、過去にアクセルを除いた5種類のトリプルジャンプをプログラムに組み込んでいた力があります。スピンの回転速度が速く、ポジションが綺麗なのも見所です。

2017-19シーズンのSP『オー・シャンゼリゼ』等で、Mエイトクラブのヘッドコーチ岩本英嗣先生に振り付けてもらった経験がありました。SP・FS共に岩本先生が振付、昨季から継続のプログラムです。

SPはディズニー映画や宝塚の演目でも有名な『アナスタシア』で歌われる曲から1つを選びました。
笑顔で滑っていて、もう、
可愛い❤
でいっぱいのプログラムです。歌詞の意味をしっかりと捉え、振りに反映させているから、印象に強く残るのですよ。例えば『Yes!』に合わせて頷く振りがそうですね。しっかりと足元が滑っていて、流れがあるスケーティングで明るい曲を表し、弾むように歌っているような姿が観てて幸せでした!!
3月に行われた大会で新しいSPを披露しました。クラブのInstagramには『初!タンゴ!』というテロップとあり、中本選手にとっては初挑戦となるタンゴの曲を選んだことがうかがえます。しかし、公開された映像だけでは曲名が特定できなかったので、来季のお楽しみとします。

FSはSPとは大きく変えた雰囲気に驚くことでしょう。1996年公開の映画『ロミオ+ジュリエット』のサウンドトラックをつなぎ合わせ、シリアスで感情の起伏が激しい音楽に合わせて滑る姿に衝撃を受けました。足元がよく動いていて、終盤までスピードあり勢いのあるスケーティングでしたね。中盤に切ない表情も交えていて、荒々しい運命に飲まれていくそんな姿が強く印象に残りました。

Mエイトクラブの公式Instagramの投稿と共に、2021年インターハイの公式アーカイブ映像をご覧ください↓

参考
出典:エムエイトフィギュアスケートクラブ Instagram
出典:インハイTV YouTubeチャンネル
SP(16:59~21:44、指定された時間から再生します) ※ジュニア課題で実施

既に披露した新SPに、来季FSも新しくする予定とのことで、どんなプログラムなのか非常に楽しみにしてます。オフシーズンはホームリンクが閉鎖するこの状況で、どうかうまく調整し、来季につなげられるように願ってます。

No.48 田中陽織選手 (タナカ ヒオリ)

所属 東洋大学
プログラム
SP サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミー(歌:エラ・フィッツジェラルド)
FS アニメ映画『かぐや姫の物語』より
今季主な成績
2021年東京選手権 選手権 24位
第15回東日本学生フィギュアスケート選手権大会 7・8級クラス 27位

高校卒業まで山梨県を中心に練習を積み重ね、大学進学後は東京都西東京市にある『ダイドードリンコアイスアリーナ』を中心に練習を積み重ねています。
2018・19年の東日本ジュニア選手権に出場、インターハイ山梨県代表としての実績があります。

トリプルジャンプの中で通常ならトゥループかサルコウが1番最初に組み込むところを、ループをに組み込んでいきました。タッチが軽く、透き通るような、綺麗なスケーティングが絶品な選手です。

今季SP・FS共に新しいプログラムにしました。

SPはアイラ・ガーシュウィン作詞、ジョージ・ガーシュウィン作曲で、エラ・フィッツジェラルドがカバーした音源を使用してます。日本では『誰かが私を見つめている』等さまざまな和訳タイトルが付けられています。しっとりとした曲に合わせ、マチュアな滑りが目を惹くプログラムです。エレガントで、お洒落な所作で優しく包み込んでくれる演技に見惚れていました。

FSは和のはんなりとした雰囲気の曲を選びました。エアリーな滑りが曲に絶妙にマッチしていて、時が経つのが余計早く感じます。たおやかな舞、芯は強い演技に、もっと拝見したいと思いました。

もう田中選手も大学3年生となります。いつまでも観ていたい綺麗な滑りを、来季は現地で拝見できることを願ってます。

No.49 鈴木なつ選手 (スズキ ナツ)

所属 Mエイトクラブ→関西大学
プログラム
SP タイスの瞑想曲
FS ミュージカル・映画『ウエスト・サイド・ストーリー』より
主な成績

2021年関東選手権 ジュニア 3位
第38回東日本ジュニア選手権 8位
第90回全日本ジュニア選手権大会 24位

今季がジュニアとしてラストシーズンでした。宮城県出身で、高校2年生の時に山梨県に移住して練習を積み重ねていました。4月に関西大学に進学が発表されました。
全日本ジュニア選手権に5度出場、全中で入賞、2020年12月に行われた全日本選手権にジュニアから推薦で出場と大きな実績がある選手です。

アクセルを除いた5種類のトリプルジャンプ、更にはコンビネーションジャンプのセカンドジャンプにトリプルトゥループ(3T)を組み込む力がある選手です。過去にはトリプルフリップ+トリプルトゥループ(3F+3T)を組み込んでいました。スピンの回転軸が細く、回転速度が速く、多彩なバリエーション、綺麗なポジションも見所です。そして何より、透明感溢れるスケーティングと品の良い所作がファンの心を惹きつけてやまない選手です。

SPは今季新しくしました。昨季まで3シーズン使い、鈴木選手と言えば『水百景(演奏:川井郁子)』と真っ先に思いつく代表的なプログラムから変えました。今回、曲名を聞いた途端、『鈴木選手に似合う!』と感じましたね。ヴァイオリンの美しいメロディーに合わせ、持味の高貴な所作が光っていて…観ていて幸せになりました。ガラスのような繊細さから放つ美に、息をのみましたね。

FSは昨季から継続のプログラムです。昨季は、これまでの鈴木選手のイメージをがらりと変えたプログラムに驚いていました。振り返ってジャッジ前まで歩いていく振りから始まる所から、新鮮でしたね。様々な表情を見せながら、足元を思う存分に滑らせつつ、アグレッシブさとエレガントさが光る演技が印象的でした。

関西に進学するというまた大きな決断をしたということで、どうか今後もステイヘルシーに、充実したスケート人生と学生生活の両方が得られることを願ってます。

参考
出典:関西大学体育会アイススケート部フィギュア部門 Instagram


山梨編及び今講義は以上です!
最後までお付き合いありがとうございました。
山梨も4~7月まではリンクが閉まっている中、滑りそのものが綺麗だし、振付が魅力的だしといいとこずくめな選手を続々と輩出してます。北海道から中本選手が入り、千葉から吉岡詩果選手(山梨学院大学)が入ったり、沢山の選手が力をつけていき、賑わいを見せています。

次講は茨城編です。北関東まではなんとか6月中に書ききりたいところです。
この先も読んで頂けたら幸いです!

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