今季プログラム
演奏:エディ・ルイス
振付師:横谷花絵
トピックスで触れたとおり、意外すぎる選曲。髙橋大輔選手がFSで使用、SPでの使用は隋文静/韓聰選手組が使用したことで有名な曲です。実は、古家龍磨選手(九州工業大学)が2015-17シーズンのSPで、同じ横谷花絵先生の振り付けで、この曲を滑っています。
長谷川選手にとって初挑戦となるブルースの曲です。しかも聴くからにかなり難しそうな曲ですね。バラバラのリズムでかつ、比較的静かそうな楽器をメインに使用し、抑揚があまりない曲に感じるので、どう表すのかなと感じました。そういえば、2・3回に1回ぐらいの確率で、筆者が驚くような曲を選んでいる気がしますね(2017-18シーズンFSのKOJIKIや、2019-20シーズンSPのブライアン・セッツアー演奏のマラゲーニャとか)。ただ今回に関して、最初曲名見た時に過去で一番ひっくり返りました。
本人も『得意とするところから外れる』と表していましたが…いざとなると…
もう有無を言わせない!!ただひたすらかっこいい!!!
クールさに痺れるプログラムでした!!!!!
魅力のところでも触れた『トリッキーな技』を交え、ビシバシと踊っていく姿に新鮮さを感じました。ノーブルなイメージが強い長谷川選手をいい意味で崩し、新たな一面を魅せていきました。
予定エレメンツ構成は
3Lz+3T、3A、CSSp、3F、StSq、FCSp、CCoSp
FCSpが最後から2番目になったこと以外は昨季SPと同じ予定構成となります。
冒頭から今まで見たことがない動きを、あの『びよーん~♪』の音色に合わせてびしっと決めていく姿から、強くインパクトに残り、はい、かっこいいです!!と言わせます!!
極めつけは、イーグルの姿勢で蛇行させながら進んだ直後に3Fを飛んでからのStSqにつなげ、ニースライドしながら右足を回し蹴りするような動きって…なんじゃこりゃ!!と思いつつ、クールにこなすから痺れる!!はい、かっこいいです!!となります!
あの…衝撃的すぎて…いい意味で次の言葉が出なくなりました。勿論、このプログラム好きです!!
はい、では、続いてFSに行きましょう!
作曲:ジョン・ラター
振付師:横谷花絵
FSはSPと打って変わって『流れるような綺麗な曲』を選択しました。本人が『得意』とするジャンルで勝負するプログラムです。
髙橋大輔選手が2013-14シーズンFSで使用した『ビートルズ・メドレー』の一番最後にこの曲の第3楽章の最後の部分が使用されています。小塚崇彦さんが第1楽章をメインに使用していました。
第3楽章のオープニング→第1楽章の最初に出てくる『エリナー・リグビー』→CSSpのあとから第1楽章『イエスタデイ』→StSqのあとから『オール・マイ・ラヴィング/シー・ラヴズ・ユー/エリナー・リグビー』→3S(の予定)を降りたあとから第3楽章の最後の方になります『ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード』の順に使用してます。
2台のピアノとオーケストラを用いて、ビートルズの名曲のメドレーを、クラシックな協奏曲にまとめ上げた感じがします。
一言で表すと、
綺麗な中に力強さ、しなやかさ等といった豊かな情景が見える
なんだかいい香りがする演技に心打たれます!
予定エレメンツ構成は
3Lz+3T、3A、3Lo、CSSp、3F+3T、StSq、2A+2T+2Lo、CCoSp、3S、3Lz、ChSq、FCCoSp
ジャンプ構成自体は前のFSと同じで、SPと同じようにコンビネーションジャンプ飛んでから3Aに挑む構成にしたこと、3連続ジャンプと2回目の3回転+3回転の順番入れ替えたものとなります。
序盤は強い音に合わせ、力強く滑っていきます。ジャンプとジャンプの間に多彩な動きを取り入れていきました。FSでイーグルからの3Loを取り入れてきました。ジュニア時代、SPのジャンプ指定がループだった時に実施していたものを、このFSで取り入れてきました。エリナー・リグビー部分の最後の盛り上がるところで、得意のスピンであるCSSpを充てて、そこから一気にイエスタデイの柔らかな曲調に切り替わります。
3F+3Tを狙って飛び、降りたあとに小さくイーグルも付け、からのStSqに突入します。美しさに見惚れてからのイエスタデイと歌うメロディーのところで…
レイバックイナバウアーからの振付が
ずるすぎる!!
となります!!!
美しい所作で、丹精をこめて滑る姿に感動してしまうのですよ!!
StSqが終わると、『じゃん~♪』に合わせてホップして、一気に曲調が変わり、また強いものへとなります。
中盤でCCoSpを入れて、最初驚きました。なぜなら、2017-18シーズン以降のプログラムはSP・FS共にCCoSpを一番最後に配置していたからです。そうなると…もしかして…一番最後のスピンは…と考えましたね。
3S(予定)を降りた後の『ジャン~♪』と強い音のあとから『ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード』に切り替わり、柔らかな動きとなり、3Lz(予定)のあとからのChSqになります。
ローーーングイーーーグル
が眼福ですね。イーグルをしながらの手の振りの美しさに、これまた見入ってしまいます!
こんな調子でうっとりしていたら、シンバルの音に合わせて
バレエジャンプ(スプリッドジャンプ)
に驚かないでくださいね。バレエジャンプを振付に取り入れたことは、2014-15シーズンSPであるとの情報があります(筆者は拝見したことがないため未確認)。綺麗な180度の開脚で、フェンスより高く飛んでいるのではと思っちゃいますね。
そして、1番最後のスピンは…FCCoSpにしました。
一般での初披露となった東京ブロックでは、バリエーションが『バタフライ→キャメルアップワードの難しいバリエーション→足を替えてから、シットサイドの難しいバリエーション→ノーマルシット→チェンジエッジ→足替えてバックスクラッチ』でしたが、レベルが取れなかったためか、東インカレか東日本以降にCCoSpの一部を含めてバリエーションを変更しました。CCoSpは最初のポジションを『シットサイドの難しいバリエーション』に変えました。ジュニア時代、SPのスピンの指定が足替えキャメルスピンの際に実施していたものでした。本題のFCCoSpに関しては1回足を替えたあとのポジションが、『シットフォワードの難しいバリエーション→その姿勢のままチェンジエッジ』に変わっていました。
まとめると、一番最初に披露した時とそのあとではこのスピンに関しては違ってたよということを覚えてください(映像がなくなったのが誠に残念です…)!
綺麗にかつ、滑りから様々な表情が見え、ドラマチックさも感じるプログラムです。特にStSqやChSqが端正なスケーティングと曲をマッチさせた動きが見所でした!
SP・FS共に同じ先生による振り付けもあって、毎回どこかしらが変わっているような印象がありました。更に、曲の盛り上がりを味方につけ、観客の心を掴んでいくのが印象に残るプログラムです。一つ一つの動きにしっかりと意味を持たせ、曲の表情を外に表していくところが、東京に移ってからはっきりと見えるようになったと感じています!
さて、ここまで書かせていただきました。やはり、文章より、映像が一番分かりやすいですよね。
記事公開時点(2022年5月13日、2023年12月8日更新)フルで残っている演技映像をご覧いただき、ついでに参考にした資料一覧を貼ります↓
全日本
出典:FODプレミアム(※会員のみ視聴可能)
SP 全日本フィギュアスケート選手権2021 男子シングルSP前半 01:57:20~02:02:56
FS 全日本フィギュアスケート選手権2021 男子シングルFS前半 32:40~40:07
国体
出典:国体チャンネル
SP 1月25日スケート(フィギュア)1:23:59~1:28:49
FS 1月26日スケート(フィギュア)6:21:41~6:28:58
出版:新書館
・フィギュアスケート2019-2020 シーズンガイド
出典:東京理科大学HP
・本学学生が全日本フィギュアスケート選手権に2年連続出場
出典:スケート∞リンク 〜フジスケ〜
・注目選手紹介 フィギュアスケート 長谷川 一輝 Kazuki HASEGAWA
出版:山と渓谷社
・フィギュアスケート男子ファンブック Quadruple Axel 2022 五輪シーズン開幕スペシャル
出版:扶桑社
・フィギュアスケートLife Vol.26
出典:フジテレビSPORTS 公式YouTubeチャンネル
・【全日本選手権への道 東京選手権2021】選手インタビュー動画〈フジテレビ公式〉46:04~48:29(その時間から再生します)
・【全日本選手権への道 東日本選手権2021】選手インタビュー動画〈フジテレビ公式〉1:08:20~1:10:52(その時間から再生します)
最後の最後までお付き合いいただき、本当に、本当にありがとうございました。
今季も引き続き学業と両立させつつ、同じクラブ生からの刺激をスケートに活かしレベルアップしていく姿も感じました。
この動きはなんとなく、樋口新葉選手(明治大学/ノエビア)の影響があるのかな?住吉りをん選手(明治大学/オリエンタルバイオ)の影響があるのかなと感じる時もあります。長谷川選手の影響が他の明治神宮外苑FSCの選手にも影響与えているのかなと感じる場面もあります。
切磋琢磨する姿に、感動もひとしおです。
順当に進めば、大学3年生、思い描く1年となるように願ってます。
また東日本フィギュアスケート概論シリーズも進めてますので、ぜひご覧ください。次は青森編ですね。
では東概論の執筆に戻ります。