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全日本選手権

【レビュー】全日本フィギュアスケート選手権大会 2023年 競技3日目 ペアFS,男子FS編

第92回全日本フィギュアスケート選手権大会 12/23 競技3日目 ペアFS・男子FS 全組・選手の演技感想

男子 第4グループ

19.友野一希(トモノカズキ)選手 上野芝スケートクラブ

FS:Halston(演奏:ステファン・モッキオ)
FS振付:ミーシャ・ジー

昨季世界選手権代表、今大会の全日本は初めてシード選手として挑む大会でした!

SPは爽やかに駆け抜けるプログラム、FSは今までの友野選手とは大きく違う曲調を選びました!

ジャンプは気づいたら、もう全部終わっていました。2本目の4Tが堪え気味だった以外、全てのジャンプを綺麗に成功させていました。ただ、それ以前に、ジャンプの成否に一喜一憂させないような雰囲気が漂っていました。

ジャンプが全部終わったあとにStSqが始まりました。静かなピアノの調べが流れ、エッジを擦る音が聞こえました。皆が固唾をのんで見守っていた、この瞬間、究極の状況でした。

気づいたら立ち上がっていて、スタオベしていました。

何という瞬間に立ち会えた事でしょうか…踊るイメージの強い友野選手が完成したものが、ダークな音楽から、引き算して生まれる芸術という…

186.64 271.52

20.佐藤駿(サトウシュン)選手 エームサービス/明治大学

FS:四季(演奏:マックス・リヒター&ダニエル・ホープ)
FS振付:ギョーム・シゼロン

昨季グランプリファイナルに出場の実績のある選手です。

SPでは、終わった直後はコーチも喜ぶ出来で迎えたFS!

FSは、北京五輪アイスダンス金メダリスト、ギョーム・シゼロンさん振付で話題となりました!衣装が、シゼロンさんが競技で着ていたような、独特の雰囲気を感じます。

2021-22シーズンSPに、ヴィヴァルディ作曲の『四季』より『夏』を使用していました。今回は、アレンジがかかった音源で『冬』をメインに使用しています。

冒頭4Lz、決まって会場から大歓声が上がりました!

スケーティングの伸ばし方、身体のしなりを活用した振付が、これまでの佐藤選手とは違った姿で、新鮮さを感じました!冬の有名な激しいメロディーに乗せたStSqからChSqの流れが最高でした!

最後は場を圧倒していました。

会場スタオベ!大興奮に包まれました!

183.24 273.04 暫定1位

21.三浦佳生(ミウラカオ)選手 オリエンタルバイオ目黒日大高

FS:アニメ『進撃の巨人』より
FS振付:シェイ=リーン・ボーン

今季グランプリファイナルに出場!SP2位の山本選手から4位の三浦選手まで、点差が1.0点未満という状態で、このFSに挑みます!

FSは三浦選手が好きなアニメの1つ『進撃の巨人』から、『ətˈæk 0N tάɪtn』、『omake-pfadlib』、『Ashes on The Fire』の3曲を使用してます。エネルギッシュな滑りを存分に活かしたプログラムです!

スピードそのまま活かし、3Aからの3連続や4回転を決めていくところに驚かされます!4Sの着氷が乱れました。

ただ、StSqで、このままいけると確信しました!

後半1本目の4T+3Tはど迫力満載、観ている側も飛び上がりそうなくらいでした!基礎点15.07の上に、GOE+3.66を稼ぐジャンプとなりました!

そしてクライマックスに、ChSqを配置しました!渾身の力を振り絞ってハイキック、得意のイーグルに手の振りを付け、気迫に満ちた滑りが強く印象に残ります!

中央にいるジャッジに駆け寄り睨みつけて、フィニッシュしました!

ガッツポーズ!会場もスタオベ!

186.17 280.08 SB 暫定1位!

凄まじいエネルギーに圧倒されました!

23.鍵山優真(カギヤマユウマ)選手 オリエンタルバイオ/中京大学

FS:Rain, In Your Black Eyes(演奏:エツィオ・ボッソ)
FS振付:ローリー・ニコル

SP3位、2年ぶりの世界選手権代表がかかった状態で演技に挑みました!

FSも昨季から持ち越しのプログラムです!

ふとしたところの腕の動きに惹かれました。滑りながらも腕を動かし、しっかりと音を捉えているからです!

複雑なムーブメントを、強い闘志でこなしていく。そこで足を上げる動きをするのかと驚くようなこともありました!

5拍子の独特なリズムで、複雑に細かく刻んでいくStSq。全てのジャンプを綺麗に決めた状態で、緊張感が走り、観客が固唾を飲んで見守っていました!激しく打ち付けるピアノの音を全て絡め取る力、スピード感、正確なエッジワークに唸らされました!

極めつけはCCoSpからのFCCoSpという流れ!3つの基本姿勢を全て盛り込む必要がある、コンビネーションスピン系を、最後に2つ入れるのは、言われてみると珍しい配置だと思いました。この2つのスピンから、物語を畳み掛けるような勢いを感じました!

天井に両腕を差し出し、見上げてフィニッシュ!やりきったという顔が全てを物語ってました!

198.16 292.10 SB 暫定1位!のオンパレード…!!この時点で鍵山選手の表彰台が確定!何かがおかしいと感じました!!

23.山本草太(ヤマモトソウタ)選手 中京大学

FS:エクソジェネシス(脱出創世記):交響曲第3部(あがない)(歌:ミューズ)
FS振付:宮本賢二

全日本は10回目の出場にして、初めて表彰台がかかる場面での滑走となります!

SPでは、トランペットの調べにのせ、ジャンプを見事に決め、降りる度にガッツポーズをしました!観客の歓声をかっさらう演技で魅せました!

FSは、全日本ではジンクスがある曲を使用してます(というか、11番滑走本田ルーカス剛史選手と同じ曲で、良い演技した…あっ!)

静寂の中3本の4回転ジャンプ全て綺麗に決めました!3A+1Eu+3S降りてガッツポーズ、3Aもガッツポーズ、ChSqで大歓声が上がり、もう、これは神演技だと確信しました!曲が徐々に盛り上がっていきます!最後のジャンプの3Lz降りてガッツポーズ、その後のスピンも拍手が鳴り止みません。静かな音の中で紡がれるStSq、シームレスなスケーティングがたまりません!!

大歓声に包まれたスタオベ!もう、感無量です!

192.42 287.00 SB 暫定1位

FS190オーバー!!えっと…どうなってるの…このグループ

24.宇野昌磨(ウノショウマ)選手 トヨタ自動車

FS:Timelapse/鏡の中の鏡(演奏:トロンハイム・ソロイスツ/ウラディミール・スピヴァコフ&セルゲイ・ベズロードヌイ)
FS振付:宮本賢二

ラスボスは世界選手権2連覇中、全日本2連覇、通算6回目の優勝がかかっている宇野選手です!

演技前、着氷が少し乱れただけで、大きなミスに印象付けられるような雰囲気さえ感じました。

そうであっても、1人別の世界にいる人でした。

前の5人の演技内容を知って、達観して、氷に映る自分だけを見ているような演技でした。

セーフという仕草を見せていました!

待って、コンビネーションジャンプは最大で3回使えるはずが、2回だけ…それだと点数が伸びなくなる、誰もがほぼ完璧な演技をする状況で大丈夫なのかと思ってしまいました…

193.35 298.04 SPで10点ほどの貯金があったので、逃げ切りました!あえてコンビネーションはあえて3回使わなかった。その戦略でした。優勝おめでとうございます!!

…はい、以上で3日目終了です!

なんという歴史的な日に立ち会えたことでしょうか!

6位に入った友野選手の点数は、2023年世界選手権では7位になるような点数であること以前に、私は終わった直後X(旧Twitter)で以下のポストをしました!

実施内容が転倒、両足着氷が無い!ほんの少し着氷が堪えただけでも、今回はマイナスとなって点数に大きく響き、ひいては順位が変わってしまいそうな雰囲気が、この最終グループ、いや今思えば8位に入った吉岡希選手からあったように感じました!

レベルの高さ、観客の力、何かの流れ、それが選手たちが最高の力を発揮し合い、ハイレベルな戦いになったのでしょう。

第1滑走から、どこの世界選手権と思いながら観ていました。

レベルの高さに痺れました!観に行って大正解でした!

幸せに満ちた疲労の中、最終日、4日目も行きます!!スケート観戦が趣味で良かったと思えた1日でした!

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