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フィギュアスケート観戦

【心に残ったプログラム覚書】 2021-22 Vol.6 東京ブロック シニア編

一介のフィギュアスケートファンが、大会を観戦し、特に印象に残ったプログラムや選手について書くシリーズ。2021-22シーズンの第5弾からは10/7~10に東京都西東京市で行われた東京ブロック。Vol.6の今回はシニアカテゴリーに出場した選手のうち11人を取り上げ、詳しく感想を書いていきます。

(続き)

海津あすか(カイヅアスカ)選手 東洋大学

SP:映画『シカゴ』より
FS:ミュージカル・映画『ウエスト・サイド・ストーリー』より
SP・FS振付:川越正大

この春から大学4年生で、今年度限りでの現役引退を表明しています…😭
【2021年版】東日本概論 第2回で書いた通り、北海道釧路市出身で、大学進学を機に上京した経歴があります。

上京後の海津選手の進化が凄すぎる!

それを今大会で一気に魅せつけられました!

エレメンツ面では、いずれも回転不足の判定とはなりましたが…SPではトリプルトゥーループ(3T)+トリプルトゥーループ(3T)を、FSではトリプルルッツ(3Lz)を大会で降り立ったのが最大のハイライトとなりました!両者とも、大会で挑んで降り立ったのは筆者が知る限りでは初めての事かと思います!大学4年生で決める強さに感動しました!!

昨季から継続のSP、新プロとなるFSと

踊って、踊りまくる海津選手最高

と伝えるために、現地で歓声を上げたかった演技でした!
コロナ前で大学生の大会ではよく、
うぇーい!
と主に関係者から歓声が上がっていました(色んな選手の演技でです)。海津選手の今回の演技で、『うぇーい』と歓声が出る気持ちが分かった気がします!

筆者は釧路にいた時から演技を拝見していましたので、釧路時代、上京後、成長、ホームリンクの閉鎖、進路の年、様々な事柄が蘇って胸がいっぱいになりました。その上で、豪快なエンターテイナーぷりを発揮した演技で、すかっと気持ちよく、楽しかったよと思い出に残る演技でした!

ブロックで名だたる選手と共にFSで最終グループを滑り、総合6位となりました!勿論、東日本進出権を獲得しました👏最後となる東日本で、海津選手らしさ全開の演技を披露できるよう祈ってます!

渡辺倫果(ワタナベリンカ)選手 法政大学

SP:Heartlines(歌:フローレンス・アンド・ザ・マシーン)
FS:交声曲『カルミナ・ブラーナ』より
SP振付:ランス・ヴァイボン
FS振付:キャシー・リード

4月から法政大学通信教育課程に進学しました!拠点はカナダでしたが新型コロナウイルスにより出入国の見通しが立たないため、三井不動産アイスパーク船橋に移して挑んでいます!
12月に行われるユニバシアード日本代表として内定しています!

SPは今年6月のアクアカップで大会初披露し、8月の『げんさんサマーカップ』でファンの前(オンライン上)で全貌を初披露となりましたが、筆者多忙のため見れず、今回が初見でした。FSは今年5月のサイニチ杯での初披露を拝見して以来となります。

SPは軽快に、明るい表情で、躍動感溢れる演技が最高でした!

爽快な滑りを追い続け、ステップシークエンス(StSq)の最後で、両膝立ててスピニングしてからフィニッシュポーズをとった時に
あれ?体感時間1分、もっと見てみたい
と感じました!

FSは、SPとは一転し、重厚なカンカータ、交声曲で滑っています。19世紀にドイツの修道院で見つかった詩歌集を基に、カール・オルフ氏が作曲したものとなっています。今回詳細の楽曲の繋げ方の特定まで出来ませんでしたが、カルミナ・ブラーナの曲の2~3曲程度を繋げてると推定しています。

3本目のジャンプで、トリプルアクセル(3A)に挑戦しました!

スピードと勢いに溢れるスケーティングの中に、目線の使い方の工夫に、腕や指の動きが大きくかつ洗練されていてからこそ、次のように感じるのです。

指先から放つ引力に引きずりこまれて行く

途轍もないエネルギーに逆らうことを許さないような、圧を感じて…描いていくストーリーにひたすら衝撃を受け続け、壮大なスケールにひれ伏すしかない演技でした!!

渡辺選手のカルミナ・ブラーナは、感じるものが今まで拝見してきた演技とは違ってかつ、心を揺り動かされるものであります。心動かすエネルギーは、筆舌に尽くしがたいものであります。

総合2位おめでとうございます!様々な思いがある中、新たな拠点で成長した姿を拝見できとても嬉しかったです!
10/15~17に行われた東インカレ優勝おめでとうございます🏆東日本と、ユニバシアードで力を出しきれますように!

宮原知子(ミヤハラサトコ)選手 木下グループ

SP:小雀に捧げる歌(作曲:Abel Korzeniowski)
FS:歌劇『トスカ』より
SP・FS振付:ローリー・ニコル

2018年平昌五輪に出場し、誰もが知る宮原選手。所属が木下グループ単独になったことに伴い、今季から東日本、東京ブロックの選手となりました。昨年の全日本選手権で3位によるシード権を保持しており、大会の前の週にジャパンオープンに出場した上で…ブロック大会に出場しました!!!!!

無観客で画面越しとは言えど、東伏見で宮原選手の演技を拝見でき、そして今回このように感想を書くとは恐れ多いことです…勇気を振り絞って、書かせていただきます!

SPは2018-19シーズンに使用していたものを再び披露しています!1ページ目で取り上げた松原星選手の昨季SPは、この宮原選手の演技を見て使用を決めました!

1番滑走での演技でした。

もう、

異次元の領域

としか表すことが出来ない滑りでしたね!

正確な技術から生まれる、非の打ち所がない熟練の技のような演技で…精巧なガラス作品のような輝きを放っていて…この記憶を、そっと胸の奥に大切にしまい込みたいですね!!

FSは昨季からの継続のプログラムですね!

『歌に生き、愛に生き』

歌劇の世界観をそのまま氷上に反映させ、生身の人間が滑っていく素晴らしさに心酔していき、

最後は時限爆弾のように記憶が無くなっていく

程の、作り込まれた物語に圧倒されました!

オペラの内容を研究していっただけでは、到底生み出されないレベルのものでした。

凄さにただ鳥肌が立って、なにもする事ができなかったです…

SPの演技後のキスクラで、ファンへのお礼を述べたのに対して、
こちらこそ、出場して頂きありがとうございました!!
とお礼申し上げたいほどの、演技でした!
どうか、宮原選手が納得のいく調整を積み、目標の舞台へのチケットを勝ち取れることを願ってます!


シニア男子

古庄優雅(フルショウユウガ)選手 日本大学

FS:映画『遥かなる大地へ』より
FS振付:宮崎勇人

今季SP・FSを新しくしました!今回はFSの方を取り上げます!

今年5月のサイニチ杯で初披露し、その後ローカル大会で披露し続けました!筆者がリアルタイムで拝見するのは、初めてであります。サイニチ杯の録画を見て、古庄選手のイメージに合うプログラムだなと感じていたので、試合を重ねてどう磨かれたのか楽しみにしてました。

伸びやかなスケーティングが1本の線で繋がり、雄大な空・大地が広がる

そのような演技が印象的でした✨

古庄選手の見所の一つは、膝関節の柔らかさを活かし、一歩がよく伸びる滑りです!持味を曲調を表すものに変え、綺麗で透明感、芯には力強さ、情熱があって印象的な演技でした✨

所々細かいミスがありましたが、全体を通してまとまった実施でした!FSで順位を上げ、総合4位となりました👏

石塚玲雄(イシヅカレオ)選手 早稲田大学

FS:ミュージカル・映画『雨に唄えば』より
FS振付:服部瑛貴

4月から大学4年生になりました。今季限りでの引退を表明しています。
SP・FS共に新しいプログラムにし、8月の『げんさんサマーカップ』でファンの前(オンライン上)で初披露となりましたが、筆者多忙のため見れず、今大会が初見でした。

今回はFSを取り上げます。

傘を振り回したり、ポケットに両手を入れて滑ったり、雨の中を歩くような振付が要所要所で施されており、

コメディミュージカルのような満足感

充実した実施でした!

まっさらで伸びやかなスケーティングに乗せて、お洒落で爽やかに思い描くストーリーを会場いっぱいに伝えていく姿を拝見して、幸せな気持ちでいっぱいです!

カラフルな傘が氷の上で沢山広がるような演技でした✨

2位おめでとうございます👏2年ぶりの表彰台でかつ、シニアのブロック大会では自己最高位でしたね!
スケートに真摯に向き合ってきて得たものが、豊かな演技に繋がっていく姿を見ると、まだまだ沢山拝見したいと願うところです!どうかステイヘルシーに、最後の東日本でやりきったと言える演技が出来るように祈ってます!

長谷川一輝(ハセガワカズキ)選手 東京理科大学

SP:Blues For Klook
FS:The Beatles Concerto(作曲:ジョン・ラター)
SP・FS振付:横谷花絵

ブロックの感想シリーズラストとなります!
今シリーズ第4回で取り上げた長谷川祥子選手(北星学園大学)の弟です!
4月から大学2年生となり、シニア2シーズン目となります!今季はSP・FS共に新しいプログラムに変え、SPはファンの前(画面越し)で、FSは大会初披露となりました!

SPはいかにも難曲そうなブルースと、かなり攻めた選曲に感じるところからスタートしました。

技と技との繋ぎ目で、次から次へと見る者を世界観に堕とすような動きに

じわじわと興奮してくる

プログラムでしたー(ぎゃー!)😇

音への反応、足替えシットスピン(CSSp)での手の振付、技と技の繋目での仕草・ポーズ、トリプルフリップ(3F)前でのロングイーグルを蛇行させながら進んだり、ステップシークエンス(StSq)での小技等、観客の心を掴むトラップのオンパレードな振付に心焼き尽くされましました!ギブアップです😇

現地で拝見してたら、声が出なくなるか、黄色い声が出るか…いずれにせよ衝撃に対する反応が出ていたかと考えます。

FSはイギリスの作曲家、ジョン・ラター氏が手掛け、ビートルズの名曲を繋ぎ合わせオーケストラ用に書いた曲となります。ロイヤル・リヴァプール管弦楽団演奏の音源を使用してます。第1楽章の『エリナー・リグビー』→CSSpのあとから第1楽章『イエスタデイ』→StSqのあとから『オール・マイ・ラヴィング/シー・ラヴズ・ユー/エリナー・リグビー』→予定ではトリプルサルコウ(3S)を降りたあとから第3楽章の最後の方の『ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード』と繋いでいます。

SPとは一転し、オーケストラが奏でるメロディーと、持味の端整なスケーティングがマッチして、優しく、暖かな雰囲気に包まれるプログラムですね!!

StSqでのイエスタデイはズルすぎる!!

と言いたくなるほど、音に合わせてレイバックイナバウワーやロングツイズル等を交え、情感豊かに滑っていく姿が…もう…感無量ですね!

おそらく、この辺から記憶が無くなる人が出てくるかと思います。

コレオシークエンス(ChSq)でロングイーグルで、麗しいと感嘆したところで、

突然の高いバレエジャンプ

に筆者は思わず仰け反りましたね!ジャッジの目の前で飛ぶバレエジャンプ、どれぐらいの高さなのかアイスコープで測ってみたいです!!

プログラムの最後のエレメンツで、フライング足替えコンビネーションスピン(FCCoSp)を2016-17シーズン以来ぶりに導入してきました。以前のFSのスピン構成は、CCSp、フライングキャメルスピン(FCSp)、足替えコンビネーションスピン(CCoSp)でした。今回、SPで取り入れているFCSpの最初の方のポジションを取ってから、足を替えてコンビネーションスピンにしてFCCoSpを成立させています。FCCoSpにする事で以前の構成より基礎点が上がります(1ページで取り上げた横谷杏林選手のFSで、FCCoSpを導入してきたのを見て、もしかしたら長谷川選手も導入してくると予想して的中したのは…)。

高貴で雄大な滑りが曲と似合ってて、目に優しく、心にじんと来る滑りが素敵すぎました!

東京ブロック初優勝おめでとうございます👏また初出場となった東インカレで2位おめでとうございます👏
SPの6分間練習ではトリプルアクセル(3A)に挑戦する姿が見られ、本番はSP・FS共に回避しました。SP・FS共に、繋ぎ目での振付が濃くしたり、FSのスピン構成を上げたり、様々な挑戦をしていく姿も印象的でした!
大会後のインタビューで口にした課題がクリアされ、東日本に挑めるように願っています!



シニア編及び、全ブロックの感想は以上です!
東京ブロックの見逃し配信はFODプレミアムにて10/23~25まで視聴可能です!期間内はぜひご覧下さい。と言って、公開時点(10/22)ではあと1~3日しかありません。上位の選手はこのあともフルで残るのですが…そうでない選手はダイジェストのみ残ることになります。この記事の中で気になったものがありましたら、今すぐ見に行くことを強く勧めます。

やれやれ、全日本ノービス選手権が始まる前に終わって良かったです…全6ブロックの感想にお付き合い頂き、ありがとうございました!この難しい状況の中、無観客ではありましたが開催して頂き、FODによる中継を通じて選手の皆様の演技を拝見できたことに感謝しています!

次回は東北北海道・関東・東京ブロック大会を勝ち抜いた先である、東日本の予定です!あっ、東日本まであとちょうど1週間(公開日時点)でした…!西日本が始まる前に書き終えられるように、頑張りますね!

ぜひご覧ください!

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