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東日本フィギュアスケート特別講座2024

【最終講】東日本フィギュアスケート特別講座 長谷川一輝 後編

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!

3月20日に明治神宮外苑スケート場で行われたエキシビジョンで、一人の選手が現役として最後の演技を披露しました。名は、長谷川一輝。神奈川県生まれ北海道育ち、高校生時代は国際大会に出場した経歴があります。東京理科大学に進学後は全日本フィギュアスケート選手権大会に4度出場、バンクーバー五輪男子シングル銅メダル高橋大輔氏プロデュースのアイスショー『滑走屋』のアンサンブルスケーターに選ばれた選手でした。
2019年から毎年、長谷川選手の誕生日(5/13)に特別講座を組んで書くほど、魅力的な演技を披露してきました。『毎回概論シリーズで紹介しきれない!!』と筆者は心底から、長谷川選手のスケートに虜になっていました。
2024年3月、競技引退を受け、最後に長谷川選手の軌跡を残したいという思いから、『東日本フィギュアスケート特別講座2024』の枠で、3回にわたって講義していきます。

前編では、今季2023-24シーズンのプログラムについて、中編では5歳から現役引退までの道のりを、今回後編では選手としての魅力について講義していきます!

毎年書いている忠告です。有り余るエネルギーの結果、情報量が多くなりました。決して引かないでください。…最後の忠告です。本当にご興味ある方のみ、この先読み進めてください。

※過去作
2019年2020年2021年2022年2023年

※URLの紹介のみ可、本講義のスクリーンショットの公開を禁じます

筆者はよく、長谷川選手の良い所として、

表現面では
・曲の捉え方
・ノーブルな雰囲気
・スケール感の大きさ
技術面でいえば
・スピードと姿勢の美しさを兼ね備えたスケーティング
・高く飛び上がり、柔らかに着氷するジャンプ
・バリエーション豊富で軸のぶれないスピン
・時々ファンを驚かせる技の実施

『書ききれないほど沢山魅力がある』
と毎年書き続けていました。

また、同じクラブに在籍していたことがある鈴木潤氏は解説で以下のように言及したこともあります。

全ての要素を、そつなく高いクオリティでこなすというところが、彼の強みかなと思っています。

2022年東日本選手権 選手権男子SP FOD解説

あらゆるエレメンツも、表現も、高い質を持っていて、惹かれるポイントが沢山あったのです。

まずは表現面について述べましょう。

雑誌『ワールド・フィギュアスケート No.91』2020年全日本選手権レビューにて、國學院大学准教授、町田樹先生は『デニス・テン・メモリアル賞』として取り上げ、表現に関して以下のように評価していました。

決してオーバーアクションではないし、感情をあからさまに表に出しているわけでもない。しかし、彼の一挙手一投足には明確な意志が感じられる。

[1] ワールド・フィギュアスケートフィギュアスケートNo.91

確かに、芸人のように大げさに表情を作って滑るようなタイプではなかったです。ただ、一歩一歩のスケーティングから、自分の感情が滲み出るような、演技を披露していました。曲調に合わせて、強さ、柔らかさ、切なさ、スケール感、様々な情景が目に見えたのです。ジュニア時代から、滑りそのものでテーマを提示する、ある意味大人びて見える、上品な演技でした。

本人は、

『流れるような綺麗な曲』を得意とする

[2] 【全日本選手権への道 東京選手権2021】選手インタビュー動画〈フジテレビ公式〉

とインタビューで答えていました。

映画『海の上のピアニスト』、『Anthem(from “Chess”)』、『The Beatles Concert』に代表されるような綺麗な曲は然り、映画『カサブランカ』のように、渋い男優像を求められようとも、アルバム『KOJIKI』やアルバム『ニュー・インポッシビリティーズ』みたいなオリエンタルな曲も、アップテンポの曲も、更に『マラゲーニャ(演奏:ブライアン・セッツァー)』、『Blues for Klook』といった一風変わった曲も、全て自分のモノにし、ファンを魅了していました。

表現を一つ大きな課題として、コーチで振付の横谷花絵先生とも相談して積み重ねていました。2023年7月に行われた大会ではPCSで7点台が並び、長谷川選手本人は成長を感じたというのです。

[3]、[4]

大学進学後は、よりスケール感が大きくなったと感じるようになったのも、日頃の賜物でしょう。

続いて、技術的な部分に言及しましょう!

・スピードと姿勢の美しさを兼ね備えたスケーティング

演技が始まってから、最後までスピードを保っているように見えるようなスケーティングでした。更に、滑っている時の姿勢が綺麗なのも大きな特徴でした。

膝関節を上手く活かし、効率よくスケーティングの伸びを出していたように見えました!

端正なスケーティングから、ノーブルな雰囲気を醸し出していたところもありました。

・高く飛び上がり、柔らかに着氷するジャンプ

長谷川選手のジャンプは、非常に高く飛び上がって回り、膝、足首をしっかり曲げて、柔らかく着氷するジャンプでした!アクセルを含めた全てのトリプルジャンプを成功させるほどの、ジャンプの力を持っていました。また練習では4回転にも挑戦していました。

2019年全日本Jr.選手権の生中継で、3Lz+3Tのアイスコープ(フジテレビ独自のエレメンツ測定システム)を用いた測定結果が放送されました。3Lzは52cm、3Tは46cmと表示されていました。
この結果に、解説を務めていたソチ五輪女子シングル出場村上佳菜子氏は
『セカンドジャンプのほうが高い』
と述べていました。

2019年全日本ジュニア選手権 ジュニア男子FS BSフジ解説

・バリエーション豊富で軸のぶれないスピン

スピンを回る時の軸が真っ直ぐで、回ってもぶれないのも大きな特徴でした!とりわけ、アップライトストレートの難しいバリエーションである『トンプソン』において、その綺麗さを発揮していたように見えました。2017-18シーズン以降、SPでは最後にCCoSpを配置し、レベル取りの最後に持ってきて、『トンプソンで締める』というイメージが付いていきました!

スピン中のジャンプ、ジャンプでの足替えの1つのプログラムの中で両方実施できるのも、意外と珍しいように思えます。スピンのポジションがバラエティーに富み、レイバック系以外のほぼ全ての技が出来たと考えてます。スピン中の手の振りも豊富に取り入れられたのも、安定しているからこそ出来る技です。

ポジションそのものも姿勢が綺麗で、見栄え良く見えました。

本人もインタビューで

『スピンが結構得意な部類に入る』

[5] Sapporoジモスポ★ はばたけ!未来アスリート フィギュアスケート男子 長谷川一輝

とも答えていました。

・時々観客を驚かせる技の実施

観客が予想もしなかったタイミングで、複雑で、難しそうに見え、今まで見たことがないような小技を披露してたのも大きな特徴でした。

ジュニア時代に取り入れていたのは、シットのポジションでウィンドミルをしてから、一度ウィンドミルを挟んで、足替えシットスピンを実施するという技、これが長谷川選手がテクニシャンとしてのイメージが出来たきっかけでした。

スプレッドイーグルを得意とし、ジャンプやスピンへの入り、StSq、ChSqで大きな見せ場として取り入れていました!更に、イーグルの最中にも手の振りを入れたり、解く時も工夫を取り入れたりすることが出来ました。

シニアに上がってからは、ChSqが加わわったこともあり、プログラムの中でより多くの技を披露できるようになりました。2021-22シーズンSPではStSqの中でニースライドしながら片足を蹴り上げる動き、2021-23シーズンFSのStSqでは左足でツイズル回った直後に、右足を軸に左足を上げたり、ChSqでは、スピードたっぷりに、アウトサイドイーグルで一周回ったあとに、180度開脚するバレエジャンプを披露しました!

このバレエジャンプについて、世界選手権に出場経験がある無良崇人氏が全日本での解説で、2年連続で同じ事を述べていました!!

これ意外と難しいんですよ、1回足開いて、もう1回閉じなきゃいけないので

2022年、2023年 全日本選手権大会 FS BSフジテレビ解説

見た目以上に難しいことを、しかもリンクの壁よりも高く飛んでいると思わせるようなものを披露していたのです。

2022-24シーズンSPのStSqで、無音になる瞬間を狙って、前後180度に開脚した状態でスライドし、そして素早く起き上がって滑るという技を披露していました。多くのファンにとって、見たことも聞いたこともない、今までの発想にはない技に驚き、拍手を送っていました。

なぜ、このようなことができたのか、次のページで解説します。

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【最終講】東日本フィギュアスケート特別講座 長谷川一輝 中編

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!

3月20日に明治神宮外苑スケート場で行われたエキシビジョンで、一人の選手が現役として最後の演技を披露しました。名は、長谷川一輝。神奈川県生まれ北海道育ち、高校生時代は国際大会に出場した経歴があります。東京理科大学に進学後は全日本フィギュアスケート選手権大会に4度出場、バンクーバー五輪男子シングル銅メダル高橋大輔氏プロデュースのアイスショー『滑走屋』のアンサンブルスケーターに選ばれた選手でした。
2019年から毎年、長谷川選手の誕生日(5/13)に特別講座を組んで書くほど、魅力的な演技を披露してきました。『毎回概論シリーズで紹介しきれない!!』と筆者は心底から、長谷川選手のスケートに虜になっていました。
2024年3月、競技引退を受け、最後に長谷川選手の軌跡を残したいという思いから、『東日本フィギュアスケート特別講座2024』の枠で、3回にわたって講義していきます。

前編では、今季2023-24シーズンのプログラムについて、今回、中編では5歳から現役引退までの道のりを、大きく4つの時期に分け、マスメディアによるインタビュー、筆者が実際に見てきた風景を基に講義していきます!

毎年書いている忠告です。有り余るエネルギーの結果、情報量が多くなりました。決して引かないでください。…最後の忠告です。本当にご興味ある方のみ、この先読み進めてください。

※過去作
2019年2020年2021年2022年2023年

※URLの紹介のみ可、本講義のスクリーンショットの公開を禁じます

遍歴(※敬称略)
出生地:神奈川県
国スポ代表:北海道
生年月日:2001年5月13日
学校:札幌市立真駒内中学校→札幌市立札幌藻岩高校→東京理科大学
所属クラブ:月寒FSC→ROYCE’F・S・C→明治神宮外苑FSC・東京理科大学
コーチ:山田真実→横谷花絵
拠点:札幌市周辺→明治神宮外苑アイススケート場
パーソナルベスト(※公開のみ)
SP 69.59 FS 133.74 総合 193.10(第67回全国高等学校スケート競技選手権大会 フィギュア競技)
プログラム
2015-16 SP:交響曲第9番ホ短調『新世界より』→ミュージカル『トップ・ハット』より『踊るリッツの夜』
振付:鈴木潤,山田真実→川越正大
FS:映画『海の上のピアニスト』より
振付:川越正大
2016-17 SP:ミュージカル『トップ・ハット』より『踊るリッツの夜』
振付:川越正大
FS:映画『海の上のピアニスト』より
振付:川越正大
2017-18 SP:アランフェス協奏曲(演奏:ジークフリート・ベーレント,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)
振付:川越正大
FS:アルバム『KOJIKI』より
振付:佐藤操
2018-19 SP:アランフェス協奏曲(演奏:ジークフリート・ベーレント,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)
振付:川越正大
FS:映画『カサブランカ』より
振付:佐藤操
2019-20 SP:マラゲーニャ(演奏:ブライアン・セッツアー)
振付:川越正大
FS:映画『カサブランカ』より
振付:佐藤操
2020-21 SP:Anthem(from “Chess”)(歌:ジョシュ・グローバン)
振付:横谷花絵
FS:映画『カサブランカ』より
振付:佐藤操
2021-22 SP:Blues For Klook(演奏:エディ・ルイス)
振付:横谷花絵
FS:The Beatles Concerto(作曲:ジョン・ラター)
振付:横谷花絵
2022-23 SP:Happy(Chartbeat-Version)(歌:サイモン・マーロウ)
振付:横谷花絵
FS:The Beatles Concerto(作曲:ジョン・ラター)
振付:横谷花絵
2022-23 SP:Happy(Chartbeat-Version)(歌:サイモン・マーロウ)
振付:横谷花絵
FS:アルバム『ニュー・インポッシビリティーズ』より(演奏:ヨーヨー・マ,シルクロード・アンサンブル,シカゴ交響楽団)
振付:横谷花絵
主成績
JOCジュニアオリンピックカップ大会 第84回全日本ジュニア選手権大会 ジュニア男子 26位
第36回全国中学校スケート大会 男子 7位
JOCジュニアオリンピックカップ大会 第85回全日本ジュニア選手権大会 ジュニア男子 7位
JOCジュニアオリンピックカップ大会 第86回全日本ジュニア選手権大会 ジュニア男子 7位
第67回全国高等学校スケート競技選手権大会 フィギュア競技 個人2位
Coupe du Printemps 2018 Jr.Men 2位
第68回全国高等学校スケート競技選手権大会 フィギュア競技 個人6位
JOCジュニアオリンピックカップ大会 第88回全日本ジュニア選手権大会 ジュニア男子 13位
第69回全国高等学校スケート競技選手権大会 フィギュア競技 個人3位
第46回東日本選手権大会 6位
第89回全日本選手権大会 20位
2021 東京選手権 男子 1位
第47回東日本選手権大会 3位
第90回全日本選手権大会 22位
第16回東日本学生フィギュアスケート選手権大会 7,8級男子 2位
第48回東日本選手権大会 2位
第91回全日本選手権大会 22位
第95回日本学生氷上選手権大会 フィギュア競技 7,8級男子 8位
第17回東日本学生フィギュアスケート選手権大会 7,8級男子 2位
第49回東日本選手権大会 5位
第92回全日本選手権大会 25位
第96回日本学生氷上選手権大会 フィギュア競技 7,8級男子 10位
第78回国民スポーツ大会冬季大会 スケート競技会 フィギュア競技 成年男子 10位

スケート始めてからノービス時代まで

神奈川県生まれ、札幌市に住んでいた5歳から始めました。先に習っていた3歳上の姉の影響でした。

2024年4月現在、確認出来る範囲で1番古いのは、小学1年生に遡ります。2009年2月に行われた『2009フリースケーティング大会』に月寒FSC所属でエントリーしています。小学5年生までは、年に2回ほど大会に出るという状態が続いていました。当時は野球を並行してやっていました。

野球少年の運命を変えたのは、小学3年生の頃から高校卒業まで指導した山田真実先生でした。

[1]

ソチ・平昌五輪男子シングル金メダリストの羽生結弦氏を、スケートを始めた時から8歳まで指導していた事で名の知られたコーチです。一番最初に、素質を見抜いたエピソードで知られています。

そんな山田先生に、長谷川選手の身体能力の高さを見出され、フィギュアスケートに懸けた方が良いと見たのです!
野球からフィギュア一本へと導き、才能が開花したのです。

[1]

同門に、のちに北海道大学大学院修了、文武両道理系スケーターとして名を馳せた鈴木潤氏、現在はペアで活躍する長岡柚奈選手(木下アカデミー)がいました。札幌市内には2つの通年リンクがあるものの、スピードスケート、ホッケーも盛んで、貸し切り枠が限られてしまう状況でした。ホームリンクと呼べる場所が無い、更に札幌市だけでなく、近隣の苫小牧市、泊村、早来町等にも出向いて、練習をするという環境でした。

小学6年生だった2013年、初めて東北・北海道ブロックに、最初で最後の全日本ノービス選手権に出場を果たしました。2013-14シーズン中には、アクセルを含めた全ての種類のダブルジャンプを、構成に組み込んでいました。

スケート年齢早生まれ(5月生まれ)のため、中学1年生でジュニア年齢に到達、しかし6級を持っていなかったため、2014-15シーズンは全国規模大会に出場出来ませんでした。3S、3Tを構成に組み込んでいました。道内の大会に出場して結果を残し、中学2年生の夏までに6級を取得しました!

(次のページでは、ジュニアカテゴリーに本格参戦した2015-16シーズンの話をします↓)

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【最終講】東日本フィギュアスケート特別講座 長谷川一輝 前編

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!

3月20日に明治神宮外苑スケート場で行われたエキシビジョンで、一人の選手が現役として最後の演技を披露しました。その選手の名は、長谷川一輝。神奈川県生まれ北海道育ち、高校生時代は国際大会に出場した経歴があります。東京理科大学に進学後は全日本フィギュアスケート選手権大会に4度出場、バンクーバー五輪男子シングル銅メダル高橋大輔氏プロデュースのアイスショー『滑走屋』のアンサンブルスケーターに選ばれた選手でした。
2019年から毎年、長谷川選手の誕生日(5/13)に特別講座を組んで書くほど、魅力的な演技を披露してきました。『毎回概論シリーズで紹介しきれない!!』と筆者は心底から、長谷川選手のスケートに虜になっていました。
2024年3月、競技引退を受け、最後に長谷川選手の軌跡を残したいという思いから、『東日本フィギュアスケート特別講座2024』シリーズを立ち上げて取り上げ、更に前編、中編、後編に分けて講義することにしました。

前編では、今季2023-24シーズンのプログラムを主に講義していきます!

※参照
過去作
2019年2020年2021年2022年2023年

毎年書いている忠告です。有り余るエネルギーの結果、情報量が多くなりました。決して引かないでください。…最後の忠告です。本当にご興味ある方のみ、この先読み進めてください。

※URLの紹介のみ可、本講義のスクリーンショットの公開を禁じます

2023-24シーズンデータ(※敬称略)
生年月日:2001年5月13日
学校:東京理科大学
所属クラブ:明治神宮外苑FSC・東京理科大学
コーチ:横谷花絵
国スポ代表:北海道
プログラム
SP Happy(Chartbeat-Version)
FS アルバム『ニュー・インポッシビリティーズ』より
プログラム振付
SP 横谷花絵
FS 横谷花絵
成績
げんさんサマーカップ2023フィギュアスケート競技会 選手権男子 8位
2023年 東京夏季フィギュアスケート競技大会 シニア男子 1位
2023 東京選手権 男子 5位
第17回東日本学生フィギュアスケート選手権大会 7,8級男子 2位
第49回東日本選手権大会 5位
第92回全日本選手権大会 25位
第96回日本学生氷上選手権大会 フィギュア競技 7,8級男子 10位
第78回国民スポーツ大会冬季大会 スケート競技会 フィギュア競技 成年男子 10位

今季プログラム

SPHappy(Chartbeat-Version)
歌:サイモン・マーロウ
振付:横谷花絵

映画『怪盗グルーのミニオン危機一発』のテーマ曲で、ファレル・ウィリアムスが歌った曲を、ベルギーを拠点に活動する『キャピタル・ダンス・オーケストラ』が演奏、サイモン・マーロウが歌ってカバーした音源を使用しています。

ミニオンシリーズに使用するため、幼児向けに作られたことが伺える曲です。『Love』等、大人なイメージさせるような言葉が無く、平易な言葉を使用していること、キーが高い男声歌手を起用していることが要因です。
ただ、このままではシニア男子選手が滑るとなると、幼稚な印象を与えるリスクもあります。そこで、原曲ではなくカバー曲を使用することで、シニア男子選手のイメージにフィットさせる効果があったと見ています。
原曲は、細く、高い声の男性ボーカルでポップな演奏でした。カバー版は、太く、低い男性のボーカルで、それに合わせてキーを下げ、ジャズオーケストラによる演奏による曲であります。子ども向けの曲に、大人の要素で中和した曲に仕上がっています!
原曲と、今回使用している音源と、両方YouTubeで、アーティストの公式チャンネルからMVが公開されているので、外部参照のコーナーからご視聴ください!

振付であり、コーチの横谷先生は、もしかしたらご子息をきっかけに知った曲なのかもしれません。

何が起きたって平気さ、だって自分は幸せだからさ
自信に満ち溢れた内容の曲であります!コーチからのエールも込められているのかもしれないです。

ここまでは大方、昨年も書いた内容となります。

このプログラムは昨季からの継続プログラムです。SPを持ち越したのは2017-19シーズンに披露した『アランフェス協奏曲』以来、大学生になってからは初めてとなりました。

昨季とは大きく違うのは、『シーズンを通じてトリプルアクセルに挑み続けた』ということです。

2023年1月に行われた国民体育大会からずっと、冒頭のジャンプを3Aに変えて、挑み続けていました。これまでは調子によって、3Aに挑んだり、回避したりの繰り返しでした。シーズンを通じて3Aに挑み続けたのは、今季が初めてでした。

スピンのレベル構成は(※〇→レベル要件、◎→レベル4必須要件、以後同じ)
FCSp バタフライ◎→CF○→CU○→CS○
CSSp 難しい入り○→シット基本姿勢→スピン中のジャンプ○→SB○→足替え→SS○→難しい出◎
CCoSp キャメル基本姿勢→SF○→CE◎→ジャンプして足替え○→シット基本姿勢→US○
と大きな変更点はありません。

振付が続々と繰り出され、次に何が出るのか楽しみになる振付が大きな魅力です!品の良さ、柔らかな所作で、クールにかつ小粋に滑る姿がたまりません!そして、このプログラムの象徴と言えば、StSqで無音になる瞬間に決める、前後開脚でのニースライド!かつて長谷川選手と共に練習し、北海道大学大学院に通いながら競技を続けた鈴木潤氏が、2022年東日本の解説で、『途中の手をついて滑るシーン、あれ個人的にちょっと手痛くないのかなと思うところもあるんですけど、ま練習の賜物ですかね、僕にはできないです。』とコメントするほどです。

アップテンポの中を、細かな振付の積み重ねて滑っていく故の難しさもありました。更に今季は冒頭のジャンプの難易度が一気に上がるという状況でした。それが全て決まった時の凄さは、想像を超えるものでした。2023年7月29日~30日に行われた『第2回関東学生有志大会』で、80点代をマークしたことに表れました(この大会は一般は事前の申し込みで観覧可能、エントリー・点数・ジャッジスコアは個人情報保護のため、一般非公開)。

もう、この時は凄かった…
曲が子どもと大人の要素を掛け合わせたものとあり、シニア4年目、20代前半の爽やかさ、弾ける勢いを上手く活用し、お洒落に滑っていく姿に、ただ、魅入りました!2季目となり、振りに余裕が見える状態で、3Aに果敢に挑戦してきた、その心意気が記憶に残っていくプログラムでした!

次のページではFSについて語ります!

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東日本フィギュアスケート特別講座2023

【2023年版】東日本フィギュアスケート特別講座 長谷川一輝 編

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!

今年は諸事情により、東日本概論シリーズは執筆していません。なのに、5月13日にブログを更新するということは…そう、これだけは開講させていただきます!!

本日(5/13)は東日本概論シリーズの北海道男子編の常連長谷川一輝選手(東京理科大学)22歳のお誕生日です!!!
おめでとうございます🎉

毎年恒例、今年で5回目となりますね。毎回概論シリーズで紹介しきれない!!という熱量をここにぶつけています。
長谷川選手について、とことん語る回にします!!
(過去同シリーズは→2019年2020年2021年2022年)

ただ、1つご注意お願いします。有り余るエネルギーの結果、情報量が多くなり長文となりました。引かないでください。…最後の忠告です。本当にご興味ある方のみ、読み進めてください。

本当に、本当にご覧になりたい方は、
☑データ
☑トピックス
☑スケーターとしての魅力
☑SP・FSそれぞれのプログラムについて
この4点から講義を進めます。それでは行きましょう!

データ

2022-23シーズンデータ(※敬称略,5/5時点で公表されているもの)
生年月日:2001年5月13日
学校:東京理科大学
所属クラブ:明治神宮外苑FSC・東京理科大学フィギュアスケート部
コーチ:横谷花絵
国体代表:北海道
プログラム
SP Happy(Chartbeat-Version)
FS The Beatles Concerto
プログラム振付
SP 横谷花絵
FS 横谷花絵
成績
第60回北九州オープンフィギュアスケート競技会 選手権男子 2位
2022年 東京夏季フィギュアスケート競技大会 シニア男子 3位
2022年東京選手権 男子 7位
第16回東日本学生フィギュアスケート選手権大会 7,8級男子 2位
第48回東日本選手権大会 2位
第91回全日本選手権大会 22位
第94回日本学生氷上選手権大会 フィギュア競技 7,8級男子 8位
第77回国民体育大会冬季大会 スケート競技会 フィギュア競技 成年男子 14位
第50回関東学生フィギュアスケート選手権大会 7,8級男子 3位

今季のトピックス

北海道から上京し、明治神宮外苑FSCに移籍し早3年目。懸命に勉強したとしても、進級が難しいと言われる東京理科大学の3年生として2022-23シーズンを迎えました。

今季は8月上旬の飯塚杯がシーズン初の大会となりました。北海道時代は、8月下旬の『SAPPORO CUP』でシーズン初の大会だったため、今までで一番早いシーズンインとなりました。
そこから東京夏季フィギュア、クラブのエキシビジョンに出演し、ブロック前の密度が濃かったかと思います。

そうそう、今季はフィギュアスケート大きなルール変更が行われましたね。とりわけスピンのレベルの取り方が変わり、多くの選手が試行錯誤を重ねました。スピンを得意としている長谷川選手も例外ではありません。

ジュニア時代からほぼ同じ構成を貫いていたCCoSpを大きく変えなければならなくなりました。
長谷川選手のCCoSpは、SForSS→NBP→足替え→キャメル基本姿勢→シット基本姿勢→US(足替え後3つの基本姿勢達成)というレベルの取り方をしていました。それが、足替え後の3つの基本姿勢でレベルを取れなくなり、更に新ルールでレベル4必須条件が無いという状況になりました。

そこで、飯塚杯から東京ブロックにかけ、スピンにおいて様々な試行錯誤を積み重ねていました。

飯塚杯では、FCSpは主にジュニア時代の構成で、キャメルサイドのポジションがドーナッツではなく、T字に近いものを取り入れていました。CSSpが、難しい入り→スピン中のジャンプ→足替えはこれまでとは変わらず、シットフォワード→チェンジエッジを入れました。足替え後は昨季FSのFCCoSpの1回目の足替え後と同じでしたね。CCoSpで、シットビハインドから直ちにキャメルアップワードという難しい姿勢変更を初めて取り入れました!
FSはCSSpはSPと同じ構成、CCoSpは足を替えたあとキャメルサイドをやろうとして上手くいかず、そのあとお得意のトンプソンをやっていました。FCCoSpは足を替えたあとが昨季から変わり、シットサイドから非基本姿勢でレベルを取り、もう一度足を替えてバックスクラッチするのは昨季とは変わっていません。

結果は中々上手くレベルが取れないというところになった模様です。

9月のエキシビジョンは、SPを披露しました。
この時、CSSpとCCoSpの構成が以下の通りに大きく変わりました!
CSSp 難しい入り→スピン中のジャンプ→シットビハインド→足替え→シットサイド→難しい出 CCoSp キャメル基本姿勢→シットフォワード→チェンジエッジ→ジャンプして足替え→アップライトストレート
難しい出を初めて導入したのが、個人的には嬉しいところです!

東日本までには(東京ブロックはFSはキスクラでの会話から、本来実施する予定の構成とは違ってたみたいです)、(○→レベル取り要件、◎→レベル4必須要件)
SP
FCSp バタフライ◎→CF○→CU○→CS○
CSSp 難しい入り○→シット基本姿勢→スピン中のジャンプ○→SB○→足替え→SS○→難しい出◎
CCoSp キャメル基本姿勢→SF○→CE◎→ジャンプして足替え○→US○
FS
CSSp 難しい入り○→スピン中のジャンプ○→SB○→足替え→SF○→CE◎
CCoSp SB→CU○の難しい姿勢変更◎→足替え→US○→難しい出◎
FCCoSp バタフライ◎→CF○→足替えで左→SS○→NBP○→足替えで右→アップライト基本姿勢
という構成になりました。(字数の都合上記号解説なくてすみません…)ルールに対応させるだけでなく、CSSpとCCoSpはSPとFS共に同じレベルの構成にしても大丈夫にも関わらず、別の構成にしているのもまた不思議なところです。

一昨年の全日本で、理系すぎる趣味・特技欄を書いて話題となりましたね。今季はブロックで見せましたね…『特技 両手トリル、趣味 家計簿をながめる』!両手トリルはリズムゲームの用語です!家計簿をながめるは、ジュニア時代に『特技 そろばん』と書いていたことがつながっているかと考えます。東日本以降は、特技がPC組み立てに変わり、フジスケのHPでは自作のPCを紹介してました!!

10月の東日本インカレで、FSで132.74を出し、見事2位に輝きました👏シニアカテゴリーでは自己ベストを更新、2018年フリースケーティング大会で出した自己ベスト132.77にあと少しに迫る高得点でした!!この時はジャンプ8本、ジュニアプログラムでしたので単純な比較は出来ませんが…久々にFSで130点を超えました!!この時無観客でかつ、中継が無かったため、一般が見れる機会が無いのが非常に悔やまれるところです…
約2週間後に同じ会場で行われた東日本では、この大会上位4人のみ全日本に行けるという厳しい戦いとなりました。『ボーダーになりかねない状況』という中、SPは3位、FS2位で総合2位で3年連続で全日本選手権出場権を獲得しました!!SPはジャンプをすべて揃えました。FSは2A+3Tの着氷で堪え、2Aから3連続ジャンプをするはずが単独になってしまい、『根性で!!』と1番最後の3Lzに2T+2Loを付けてリカバリーしました!!Jr.時代に3F+2T+2Loを構成に入れて成功させたこと、リカバリーで3S+2T+2Loを決めたことがありますが、3Lz+2T+2Loは本番で見たことがなかったのです!!惜しくも2Loにqマークが入りましたが、緊張する中熱い演技を披露しました!東日本の会場は2017年の全日本Jr.選手権で7位となり、あと一歩でSr.の全日本を逃した場所であります。本人は意識していたかは不明ですが、5年前のリベンジを果たしました。
更に、今年1月にアメリカで行われたワールドユニバーシティゲームの第3補欠にも選ばれました👏

12月の全日本選手権では、なんと3年連続でSP17番滑走を引いたのです!!本番はジャンプを揃え、スピンのレベルの取りこぼし等ありましたが、SP18位となり初めてFSで第2グループで滑りました。

年明けすぐにあったインカレは、北海道苫小牧市で行われました。苫小牧は長谷川選手が北海道時代によく練習をしていた場所でありました。札幌市は通年リンクが2箇所あるものの、他競技の方が盛んな地であり練習環境が厳しく、札幌近郊のリンクに足を運んで練習を行っていました。そう言えば、同じ苫小牧市内のリンクで、長谷川選手が高校3年生の時に、兄弟子であった羽生結弦さん(羽生さんの最初のコーチである山田真実先生が、長谷川選手の北海道時代のコーチ)の練習を見学しましたね。その後のインタビューで、非常に刺激を得たと述べています。
全日本のFSでミスが目立つ演技となり、休まずに練習を積重ねて挑みました。1番滑走という状況の中、ジャンプ7本を全て揃え、GOEでマイナス評価が1つも無い演技を披露しました!!
本人も控えめなガッツポーズを見せていました!個人で8位入賞を果たしました!

同じ月の国体からSPで、これまでは2Aだった3Aに挑むことになりました。FSは一般客が入れる時間に行われた公式練習で、綺麗に成功させる場面があったものの、本番では回避しました。

4月に、毎日新聞の朝刊の連載『学校とわたし』にてインタビュー掲載されました。著名人が学校生活を振り返るというコンセプトの連載となります。フィギュアスケートでは、壷井達也選手(シスメックス)が掲載されたことがあります。これまで『文武両道』をモットーにしてきた長谷川選手、その高校生活、一般受験をして大学に入ったこと、競技について語られていました!生まれは神奈川で、北海道育ちと紹介されていました。遅くとも小学2年生までには、札幌に移り住んでいて、大会に出場しています。
あっ、有料記事ですので、これ以上内容を話すのは控えておきましょう。

無事に4年生に進級を果たしました!
GW中に、リンクの一般滑走中にエキシビジョンを行う企画に出演しました!なんと最終日の1番最後、大トリを務めました!
北海道時代は3月に大会が終了し、8月まで試合が無く、人前で演技する機会はありませんでした。5月に観客を前にして演技を披露するのは初めてだったことでしょう。
直前の練習では、3Aに挑み着氷でステッピング・アウトしていました。今季SPを披露し、本番で綺麗に成功させました!
クラブの後輩達からの熱い応援を受け、終始笑顔で滑り、リンクが大きく盛り上がる演技で締めくくりました!

続いては、魅力について語ります↓


スケーターとしての魅力

スケーティング1つ取っても、スピン1つ取っても、ジャンプも、時々驚くような技を飛び出してくるところも、所作1つ、音の捉え方1つもどれも魅力的で…だからこのような講座を開いているのですよ!!!

どの観点から見ても、1つ行き着くのは
持っている高い能力をフルに活かしている
ということでしょう。

東日本選手権で解説を務め、長谷川選手が北海道時代に同じクラブに所属していたことがある鈴木潤さんは
・元々身体能力が高い
・全ての要素を卒なくこなす

とコメントをしていました。
小学生時代に野球をやっていて、フィギュアスケートをあまりやっていなかったものの、山田先生が能力を見て、フィギュアスケートに懸けた方が良いと見出した経緯があります。
運動神経の良さ、関節の柔らかさが、3Aまでマスターし、あっと驚くほど高いジャンプ、姿勢が美しく、最後までスピードが落ちないスピン、スケーティング等に活かされていると考えています。高い基礎を身につけられるから、意表を突くような技が出来るのかもしれないです。今季はSPは開脚ニースライドであったり、昨季SPはニースライドしながら足を上げたり、過去にはシットの姿勢でツイズルしていたら突然ウィンドミルして入るCSSpを披露してました。イーグルが得意で、多彩な手の振付付きでプログラムのアクセントとして取り入れています。

エレメンツだけでなく、表現の面において
長い手足を活かしてスケールが大きくかつ、品のあるに見入ってしまいます!姿勢の良さ、プロポーションも相まって、実際の身長より10cm以上大きく見える滑りが出来る選手であります。
あと、どんな曲もモノにし、情感豊かな演技にしていきます。音を素早く掴み、動きに変換するのが上手い選手だと感じています(両手トリルが特技なのも、この能力のおかげかもしれません😁)。所作が綺麗なので、あらゆる曲調に対応でき、魅力あふれる演技を披露できるのかと考えてます。

横谷先生は上品な動きと、曲の盛り上がりに合わせて振りを組み立てていき、印象に残るようなプログラムが多いと感じています。
ここに長谷川選手の元からの良さが加わったら、どうなることでしょうか?間違いなく最強です!

神宮に移籍してから、音を捉え、自分の伝えたい思いを振りで明確に示していく姿勢が見え、よりドラマチックな演技に感じているこの頃です。この先どこまで進化した姿を魅せれるのか、楽しみになるスケートだなと感じています。


次のページでは、今季SPとFSについて語ります!!まだまだ!という方はぜひ、クリックしてください!

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東日本フィギュアスケート特別講座2022

【2022年版】東日本フィギュアスケート特別講座 長谷川一輝 編

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!東日本フィギュアスケート概論シリーズを書いていて、

5月13日に更新するということは…

あっ!と思った方は流石ですね!
本日は、北海道男子編で紹介した長谷川一輝選手(東京理科大学)21歳のお誕生日です!!!
おめでとうございます🎉

はい、今年で4回目となりますね。
長谷川選手について、とことん語る回にします!!
(過去同シリーズは→2019年2020年2021年)

…最後の忠告です。ご興味ある方のみこの先読み進めてください。

☑データ
☑トピックス
☑スケーターとしての魅力
☑SP・FSそれぞれのプログラムについて
この4点から今年も講義を進めます。それでは行きましょう!


データ

2021-22シーズンデータ(※敬称略,5/1時点で公表されているもの)
生年月日:2001年5月13日
学校:東京理科大学
所属クラブ:明治神宮外苑FSC・東京理科大学フィギュアスケート部
師事コーチ:横谷花絵
国体代表:北海道

プログラム
SP Blues For Klook
FS The Beatles Concerto

成績
2021年 東京夏季フィギュアスケート競技大会 選手権 1位
2021年東京選手権 選手権 2位
第47回東日本選手権大会 3位
第15回東日本学生フィギュアスケート選手権大会 7,8級クラス 2位
第90回全日本選手権大会 22位
第94回日本学生氷上選手権大会 フィギュア競技 7,8級クラス 26位
第77回国民体育大会冬季大会 スケート競技会 フィギュア競技 成年男子 7位
2022フィギュアスケートフリースケーティング大会 Aクラス 1位

今季のトピックス

シニア参戦2シーズン目となった今季は、SP・FS共に新しいプログラムにしました。FSに関しては昨季までの3シーズン使用してた。
プログラムの項目で詳しく説明しますが、両方ともバンクーバー五輪男子シングル銅メダリストで、現在はアイスダンスで活躍している髙橋大輔選手(関西大学KFSC)が使用した曲で話題ともなりました。余談ながら、ジュニア時代のインタビューでは憧れの選手はソチ五輪男子シングル銀メダリストパトリック・チャンさんを答えていました。

また進学に伴う北海道から拠点とコーチが変わってから2シーズン目ともなり、両プログラムともコーチが振り付けともなり、様々な余裕が出てきたのかなと感じてます。本格的に進歩を目指していこうとする姿が、演技の至る所に表れていたと感じていました。
まず、演技構成に、昨季よりトリプルアクセル(3A)に挑む回数が増えました。その結果、SPでは11月の都民大会で初成功させ、GOEで加点も初となりましたが…残念ながら映像はありません(FSでの3A成功は2019年東日本ジュニア選手権でGOEがわずかに減点でした。こちらも映像はありません)。
実はジャンプだけでなく、FSスピンもより基礎点の高くなる構成にしたのです。それは、フライング足替えコンビネーションスピン(FCCoSp)の導入です。SPでは取り入れられないスピンです。FCCoSpを演技構成に入れるのは2015-16シーズンFS以来のことでした。
他にも技と技との間の繋ぎでの振り付けや、見せ場をより意識したりと様々な工夫を感じました。元々の綺麗で良いところを更に突き詰めて伸ばしていく向上心を感じる場面が多かったです。

昨季は4位だった東京ブロックでは初優勝、東日本選手権は3位で2年連続全日本選手権出場権をつかみました。東日本に関しては、ジュニアだった2016年以来となる表彰台でした。

2度目の全日本の際、パンフレットに記載された趣味・特技欄が大きな話題を呼びました。
・シュレディンガー方程式の固有値を求める
・量子力学で電子の存在確率を考察する
すみません、専門外なので解説を回避します(笑)
ちなみに、筆者がまとめた長谷川選手の過去の趣味特技一覧はこちらです(趣味特技欄の記載があるパンフレットをかき集めてまとめました)。

特技にそろばんと書いていた時があり、その時から理系かなと感じていましたが…数年後は誰も予測できなかった進化を遂げていました。かつて同じ東北・北海道ブロックには、文武両道の理系の先輩選手がいて、理系でかつ面白い趣味特技欄を書いていましたが、その先輩選手をはるかに超えるスケールのものとなりました。

話を元に戻しましょう!
国体は3Aを回避し、SP・FS共にシニアに本格参戦して以降では自己ベストを大幅に更新しました!
相方である坪井聖弥選手(北洋大学)の活躍もあり、団体として7位入賞を果たしました。昨季は惜しくも逃した団体入賞のリベンジを果たしました。

今季ラストの大会となったのは、2月に札幌市で行われた『2022フィギュアスケートフリースケーティング大会』です。
例年2月末に行われる北海道スケート連盟主催の大会で、札幌時代はほとんど出場していました。今年は全国各地から出場が可能でした。
スケートを始めるきっかけの1つとなったお姉さんの競技生活からの引退とあり、最後に姉弟で出れるチャンスということで大会に出場しました。

成績の面では個人的に印象深かったのは、ほぼ毎回、今年3月に現役から引退した石塚玲雄さんとFSが連続し、順位も点数も拮抗してたことです。同じ東京ブロックの選手同士でありましたが、SP・FS両方ある全国大会においてもSPも同じグループの確率も高く、順位が並び、FSはリバースオーダー制なので毎回連続ということが起きていました。FSのみの大会含めて、FSの滑走順が連続しなかったのは、東インカレのみでした。

続いては、魅力について語ります↓

スケーターとしての魅力

よく筆者の概論では『書ききれないほど沢山魅力がある』と書きます。どの瞬間も綺麗でふわりと引き込まれるのですよ。表現面では
・曲の捉え方
・ノーブルな雰囲気
・スケール感の大きさ
技術面でいえば
・スピードと端正さを兼ね備えたスケーティング
・バリエーション豊富で軸のぶれないスピン
・高く飛び上がり、柔らかに着氷するジャンプ
・時々意表を突く技の実施


『時々意表を突く技』という点に関しては、今季SPは特にトリッキーな技のインパクトが強く感じます。
かつてはシットのポジションでツイズルしてたら突然ウィンドミルしてから入る足替えシットスピン(CSSp)なんてしてました!これ、羽生結弦選手(ANA)が2020-21シーズンSPで取り入れる前に実施してました。
このスピンに関しては、本人も得意と答えており、
ジャンプは3Aまでをプログラムの構成に入れられる力を持っています。とりわけトゥ系ジャンプが高く飛び上がり、関節の柔らかさを活かして着氷していくのが持ち味です。
力を効率よく使い、最後までスピードが落ちない端正なスケーティングから、気品に満ち溢れるところも魅力でもあります。
実際の身長より10㎝以上大きく見える、スケール感の大きさに圧倒されます。

様々な切り口から一旦引き込まれたら、他の良い要素と結びつき、綺麗で凄いなと印象に残していくと感じてます。
全ては
姿勢の美しさ
から繋がっているからだと考えます。

高い基礎力に裏打ちされた演技
これに魅了され、今ここに記事を書いているのであります。

次のページでは今季プログラムについて語ります。

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東日本フィギュアスケート概論2022

【2022年版】東日本フィギュアスケート概論 第3講 北海道 男子編

こんにちは!大学院修了フィギュアスケートファンのLenaです!

早速、東日本フィギュアスケート概論シリーズ第3講、北海道男子編を始めます!(過去同シリーズは→2019年2021年)
依然有観客での大会が限られる中、2021-22シーズンは五輪もあって、フィギュアスケートに注目が集まりました。一ローカルフィギュアスケートファンとして、普段拝見する機会が多い東日本の選手の魅力をもっと知ってほしいと、講義という名のもと、記事を書かせていただきます!

第1講~3講にかけて北海道の選手を取り上げている中で、今回、第3講は男子編です❄️全中、インハイ、国体で北海道代表として出場したことのある選手を紹介します。

(これまでの講義の一覧はこちらから)

※所属クラブ等のデータは2022年3月時点で、一般に公開されているものを基準にしてます。4月から所属先等変更がある場合は併記します。

それでは、早速行きましょう!!

No.10 西本那音選手 (ニシモト ナオト)

所属 北海道FOREST F.S.C.
プログラム
SP ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18(作曲:セルゲイ・ラフマニノフ)
FS スウィングしなけりゃ意味がない(※昨季データ)
今季主な成績
第42回全国中学校スケート大会 34位

通年リンクの無い十勝地方を中心に練習を積み重ねている、中学2年生の選手です。2022年3月時点では、5級です。6級を取得次第、来季からブッロクにジュニアカテゴリーに参戦できます。
今季前半は大会にエントリーしてなかったのですが、全中代表を掴み、出場しました。3年連続で全日本ノービス選手権に出場した実績があります。
地元テレビ局の特集で、羽生結弦選手(ANA)が憧れと話してました。

一目見た瞬間に、
圧倒的な滑りの綺麗さ
に惹かれる選手です。筆者はノービスの年齢になる前から拝見してました。幼い頃から軽やかで透明感あるスケーティングが光り、印象に残っていましたね。

SPは、全中で一般のファンに初披露となりました。聴いて、いかに滑りこなすのが難しそうなピアノ協奏曲に合わせ、美しい演技を披露する姿が、印象深く残ります。演技そのものが、実年齢以上に見えるのですよ。
予想しなかったタイミングからダブルアクセル(2A)で始まって驚きつつ、持味のスケーティングを存分に活かしたプログラムに、もっと見たいと思わせます。

FSは、今季一般のファンの前で披露することが叶いませんでした。今回、昨季までのプログラムを書きましたが、所属クラブのInstagramの投稿等から推測すると、プログラムを変えた可能性があります。どうか来季以降、拝見できる機会に恵まれることを願っています。

その他、バッジテスト等様々なことがあるかと思います。
無限の可能性を秘めたスケーティングにもっと沢山のファンに見てほしいと思う選手です。
どうかステイヘルシーに、思い描く練習ができることを願ってます。

No.11 中森飛佑伽選手 (ナカモリ ヒュウガ)

所属 北海学園大学
プログラム
SP 映画『ダンシング・ヒーロー』より『Scott & Fran’s Paso Doble』
FS ゲーム『モンスターハンター』シリーズより『星に駆けられて』/『深い森の幻影』
今季主な成績
2021年東北・北海道選手権 ジュニア 5位
第15回東日本学生フィギュアスケート選手権大会 5,6級クラス 1位
第94回日本学生氷上選手権大会 フィギュア競技 5,6級クラス 2位

札幌市内の高校を卒業後、系列の大学に進学しました。引き続き札幌市内を中心に練習を積み重ね競技を続けてます。順当に進めば、4月から2年生となります。
第1講で紹介した伊吹有紗選手、第2講で紹介した佐藤妃依選手、清水柚梨恵選手、加藤花怜選手と同じ先生の指導を受けています。
今季がジュニア最終学年でした。7級を取得次第、来季からブロック大会でシニアにエントリーできます。

180㎝近い長身を活かし、迫力ありつつ、所作のエレガントさを兼ね備えているのが強みの選手です。
それと、衣装が毎回斬新でかつお洒落な所が印象に残ります。

昨季から継続のSPは、ステップシークエンス(StSq)は同じクラブの先輩である鈴木潤さんの振り付けです。新型コロナウィルス対策のせいで、札幌市内のリンクが長期にわたって閉鎖となった中、昨季からより動きが洗練され、メリハリが効いたものを見せていて感慨深かったです。

今季新しくしたFSは、モンスターハンターのサウンドトラックを2曲繋いだものとなってます。片方が半袖の斬新な衣装が目を惹きましたね。終始ミステリアスな曲調で、後半が和楽器を使用した曲に感じました。
最後までスピード感あり、ダイナミック、迫力ある滑りで描く世界観が印象的でした。

SPに関しては、昨季にはなりますが、参考までに2021年インターハイの公式アーカイブ映像を、FSはFODプレミアム会員のみとなりますが、2022年インカレの映像をご覧ください(余談ながら、振り付けの先生の地元で披露した時の映像になります)↓

出典:インハイTV YouTubeチャンネル
SP(52:24~57:45、指定された時間から再生します)
出典:FODプレミアム
FS 第94回日本学生氷上選手権大会(インカレフィギュア2022) (※会員のみ視聴可能)2:36:33~2:40:29

昨年『実は、ずっとお名前だけは聞いていてまだ現地では、筆者が拝見したことがない選手なのです。もし来季以降も続けるとの事であれば、一日も早く現地で拝見したいと願ってる選手です。』と書きましたね。今季も、コロナの影響により現地で拝見することが叶いませんでした…
どうかステイヘルシーに、来季こそは現地で演技を拝見できると信じていきます。


次のページに紹介が続きます💨

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フィギュアスケート観戦

【心に残ったプログラム覚書】 2021-22 Vol.8 東日本 シニア編

こんにちは、社会人フィギュアスケートファンのLenaです!早速心に残ったプログラム覚書、2021-22シーズン第8回、東日本 シニア編を始めます!

このシリーズでは順位が基準ではなく、筆者がライブ配信や現地で見れた中で個人的に印象に残ったプログラムを何個か書いていこう!という記事になります!第1回は中四国九州&中部ブロックで、第2回は関東ブロック編で、第3回第4回は東北・北海道ブロック編、第5回第6回は東京ブロックでした!この流れで来たら…そう、前回から東日本編ですまずはジュニア編、そして今回がシニア編です!
東日本はこれで最後です!いやー、色々とあって、NHK杯の日に公開となりましたね…

以下注意書きです↓

※今シリーズで紹介するのは、実際にリアルタイムで見れてかつ、ジュニア・シニアカテゴリーの選手のプログラムとします
※所属・振付師名はフジテレビスケートで掲載された『選手詳細一覧』情報を基にしています。プログラム名は選手詳細一覧を基に、筆者が選手の演技を見て独自に調査を行った結果を掲載しています

個人の好み等がありますので、様々な意見があるかと思います。それをご了承の上で、読み進めていただければ幸いです。

それではいきましょう。



東日本/東日本ジュニア兼全日本/全日本ジュニアアイスダンス予選会
通称:東日本
期日:2021年10月28日(木)~10月31日(日)
会場:ダイドードリンコアイスアリーナ(東京都西東京市)※無観客、FODの中継により観戦
セレクト対象:ジュニア女子SP・FS、ジュニア男子SP・FS、シニア男子SP・FS、シニア女子SP・FS・ジュニアアイスダンスRD・FD、シニアアイスダンスRD・FD

シニア女子

廣谷帆香(ヒロタニホノカ)選手 岩手大学

SP:アニメ『パンドラハーツ』より『Everytime You Kiss To Me』
SP振付:本郷裕子

第4回でSP・FS両方書きましたね。今回はSPのみを書きます!

ブロックではコンビネーションジャンプのセカンドジャンプが2回転だったところを、3回転にして決めました!ジャンプは全て高いGOEが付く出来でした!

そして何よりも

エモーショナルな演技

が際立っていました!体を大きく使った動きに、伝えたい思いがこもっていると感じました!歌詞の意味を1つ1つ捉え、まるで星が輝いているようなパフォーマンスに胸が熱くなりました!

大学生になってからのここ数シーズン、技術面といい、情感がはっきりと感じ、進化が凄いと常々思っています!

SPは4位で、最終的には惜しくも全日本選手権を逃しました。岐路に立ち、様々な悩みがある中で出場してくれたことに感謝しています。そして、ブロックと東日本の両方で、思いを存分に伝える演技を拝見できたことを嬉しく感じています!
第4回でも書いた通り、どうか廣谷選手の納得のいく道に進めることを願ってます。もしも叶うなら、もう一度現地で演技を拝見できたらと思っています。

松原茜(マツバラアカネ)選手 埼玉アイスアリーナFC

SP:自由(演奏:女子十二楽坊)
SP振付:川越正大

【2021年版】東日本概論 第12回でも書いた通り、大学卒業後も競技を続け、今季で2シーズン目となります!そして、先月のブロック大会で東日本の出場権を初めて掴みました!

SPは昨季の前半に使用していたプログラムです。2017-19シーズンにも使用しています!

冒頭のトリプルトゥーループ+ダブルトゥーループ(3T+2T)は幅の大きさにカメラがついていかず、フレームアウトするほどでした!GOEで加点が付く出来でしたね!

何よりも、活き活きとした表情で、チャイナ風の踊りを披露していたのが印象的でした!
要所要所でのキビキビとした動きもバッチリ決まっていて、プログラムにメリハリを感じましたね!

自由伸び伸びと力強く滑っていくのが最高!

そんな演技でした!

初めての舞台でFSに進出しました!

これまで沢山色々な事があった中で、社会人となってからも競技を続け、様々な表情を拝見できて筆者としては本当に嬉しく感じております!
どうかステイヘルシーに、この先のスケート人生が充実したものとなる事を祈ってます!
叶うのなら、もう一度現地で演技を拝見できる事を願ってます!

本田真凜(ホンダマリン)選手 JAL

SP:映画『Mr.&Mrs.スミス』より『アサシンズ・タンゴ』
FS:映画『LOVERS』より
SP・FS振付:ローリー・ニコル

SPは2017-18シーズンで最初に使用していたプログラムを再び使用しています。衣装は東京ブロックの時から変えました!

タンゴ独特のリズムに合わせ、

本田選手の『魅せる』マジックにかかる

そんな演技でしたね!

求められていることをしっかり捉え、力みなく、ナチュラルに表していく姿に見惚れるばかりでしたね!

SPは8位スタートとなりました。

FSは2018-19シーズンで使用していたものを再び使用しています。

今にも消えゆくタイミングで見せる炎

のような、ゆっくりと消えゆくその美を表していくような演技が印象的でした!『消えゆく』と書きましたが、嫋やかで芯は強く、演技に対する魂が宿っていて、音楽を感じたがままに表している姿に見入りました!

様々な雰囲気を羽衣のように軽く身に纏い、曲を表す力は流石本田選手だなと感じるばかりです!

FSは5位、総合6位で全日本選手権の出場権獲得おめでとうございます!
どうか、本田選手らしい演技を、全日本の舞台で発揮できることを願ってます!

佐藤伊吹(サトウイブキ)選手 明治大学

SP:Ice Queen(演奏:Dinletir)
FS:アルバム『Tree of Life Suite』より(演奏:ロイヤル・フィルハーモーニー管弦楽団/ロベルト・カッチャパーリア)
SP・FS振付:横谷花絵

今年4月から大学3年生となりました!

SPは昨季からの継続となります。

筆者の中で佐藤選手と言えばエレガントなイメージを変えたプログラムでしたね!

今季は細かい所もしっかりと磨かれ、エキゾチックな雰囲気をモノにし、ベリーダンス特有の激しさを感じる演技が印象的でした!

SPは7位スタートとなりました。

FSは、今季新しくしたプログラムです。今年5月のサイニチ杯では初披露でしたが、配信では演技非公開の措置が取られてました。そのためファンの前(オンライン上)で初披露となったのは東京ブロックとなりました。筆者がリアルタイムで拝見するのは今回で2回目です。

東京ブロックで、

長年頑張ってきた佐藤選手への先生からの素敵なプレゼント

と感じ、これからどう完成していくのか凄く楽しみになるほどのプログラムでした!

壮大な音楽に合わせ、植物の様々な瞬間を描いていき、やがて大輪を咲かせていく風景が目に見えてきました!

その中でエレメンツを全て決め、魂が震えるほどの気迫に満ち溢れていました!
あとで気づいたのですが、佐藤選手も今季からFSでフライング足替えコンビネーションスピン(FCCoSp)を導入しているのですね!第6回で同門の横谷杏林選手(東京歯科大学)と、長谷川一輝選手(東京理科大学)がFSでFCCoSpを導入したと書きました。偶然なのか、導入する流れがあったのかな…?と考えてしまいましたね。

最後まで生命力の強い『木』のような演技に心打たれました!

総合6位で、全日本選手権は惜しくも叶わなかった…特にFSは渾身の演技で感動したから尚更…と勝負の世界の厳しさに歯がゆさを感じていました。と、その時、ユニバシアードに出場する渡辺倫果選手(法政大学)が隔離期間の関係で現時点では出場不可能と見越した上で、繰り上がりで出場権獲得を獲得しました!!おめでとうございます👏
実に5年連続での出場権獲得です!長きにわたって積み上げてきたものが、全日本の舞台で発揮できることを願ってます!

渡辺倫果(ワタナベリンカ)選手 法政大学

FS:交声曲『カルミナ・ブラーナ』より
FS振付:キャシー・リード

第6回でSPとFS両方書かせて頂きました。今回はFSのみを取り上げます!

SPは5位となり、全日本出場権ギリギリのラインでした。

そんな状況下で、

『強さ』に圧倒された

演技に筆者は震え上がりました!

3本目のジャンプのトリプルアクセル(3A)以外は転倒が無く、GOEで加点の付くジャンプを次々と降りました!

何よりも

曲調!!

重厚でシリアスな合唱によく合う、パワフルな滑りに圧倒されるしかありませんでした!

5月のサイニチ杯で初めて拝見して以来、毎回雷に打たれたような衝撃を受け続けてます!この曲独特の重厚さを、ダイナミックに表現し続ける渡辺選手の凄さに震え上がっています!

今回もダークで激しい音楽に合わせて、スケールが大きく、最後の瞬間までエネルギッシュな演技でした!ただ、まだ現地では拝見できてないので、1日も早く機会が来てほしいところです!!!

総合優勝で全日本選手権出場権を獲得しました!
ただし、全日本の直前にスイスで行われるユニバシアードに出場し帰国後の隔離期間があるため、現時点(11/12)では出場出来ません。もしも隔離期間が短縮され、出場可能となった場合は追加でエントリーとなります。どうか隔離期間が短縮され、渡辺選手も出場できる状況になることを切に願ってます!

シニアアイスダンス

平山姫里有/立野在選手組(ヒラヤマキリア/タテノアル) 倉敷FSC

FD:映画『シェルブールの雨傘』より
振付:有川梨絵

2020年4月に結成を発表し、同年12月の全日本選手権に出場しました!
平山選手は、別のパートナーで全日本選手権に出場経験があります!立野選手は世界ジュニア選手権、四大陸選手権に出場経験があります。立ての選手は2018年に怪我のため一度引退したものの、復帰して結成されたカップルです!

男女のデュエットの部分を使用し、

離れてはくっつき、運命に翻弄されながら濃密に愛しながらも、最後は別れていく

が胸に染み渡りました!

前半はくっついている瞬間が多いのですが、後半だんだんすれ違っていく瞬間が多くなっていき、最後余韻を残しつつ背中合わせになって終えるストーリーが目に浮かんできました!

曲の世界観を表すために、振付に沢山のこだわりが詰まっているとも感じましたね!
すれ違っていく瞬間を、FDで必要なエレメンツの中にも溶け込ませていていました。ステップの部分で特に、はっきりと出てました!

2人が織りなす物語にただ、見入ってました!

全日本で2人の世界観で沢山のファンを魅了できるように願ってます!

次のページに、シニア男子を書きました!ぜひクリックしてご覧下さい!

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フィギュアスケート観戦

【心に残ったプログラム覚書】 2021-22 Vol.6 東京ブロック シニア編

こんにちは、社会人フィギュアスケートファンのLenaです!早速心に残ったプログラム覚書、2021-22シーズン第6回、東京ブロック シニア編を始めます!

このシリーズでは順位が基準ではなく、筆者がライブ配信や現地で見れた中で個人的に印象に残ったプログラムを何個か書いていこう!という記事になります!第1回は中四国九州&中部ブロックで、第2回は関東ブロック編で、第3回第4回は東北・北海道ブロック編でした!前回から東京ブロック編に突入しました!前回がジュニア編で、今回はシニア編です!

以下注意書きです↓

※今シリーズで紹介するのは、実際にリアルタイムで見れてかつ、ジュニア・シニアカテゴリーの選手のプログラムとします
※所属・振付師名はフジテレビスケートで掲載された『選手詳細一覧』情報を基にしています。プログラム名は選手詳細一覧を基に、筆者が選手の演技を見て独自に調査を行った結果を掲載しています

個人の好み等がありますので、様々な意見があるかと思います。それをご了承の上で、読み進めていただければ幸いです。

今記事でブロック大会の感想はすべて終了となります!

それではいきましょう。



2021 東京選手権大会
通称:東京ブロック
期日:2021年10月7日(木)~10月10日(日)
会場:ダイドードリンコアイスアリーナ(東京都西東京市)※無観客、FODの中継により観戦
セレクト対象:ジュニア女子SP・FS、ジュニア男子SP・FS、シニア男子SP・FS、シニア女子SP・FS

シニア女子

青木祐奈(アオキユナ)選手 日本大学

SP:映画『アーティスト』より
SP振付:鈴木明子

4月から大学2年生になり、シニア2年目のシーズンとなります。SPは今季新しくしたプログラムです!今大会がファンの前(画面越し)で初披露となりました!

バンクーバー・ソチ五輪出場経験のある鈴木明子さんに自身初めて振付を依頼しました!

いくつかの
新鮮なポイント
が合わさり、今回ここで感想を書くに至ったのです!

まず衣装で、長手袋をしているところです!紺色の長手袋により、腕の動きがよりはっきりと見えてかつ、ノーブルに感じました!

次に表情の付け方、コミカルでかつインパクトのある振付で勝負してくるのところです!今までの青木選手には無かったものでした!

そして体のキレ、動き、可動域の広さに、元来持っていたものを組み合わせて、ストーリーを描いた結果…

もう、はっちゃけて踊る青木選手最高😍

と叫びたくなるほど、一発で好きなプログラムになりました❗

こういう青木選手をもっと見てみたい、次はどんな演技を披露してくるのか楽しみになりました!

SPは4位、総合5位で東日本出場権を獲得しました!おめでとうございます!
新たな一面、表情豊かなキャラクターのSPと、継続で深みが増したFSと、どうかステイヘルシーに、東日本で魅せられますように!

川畑和愛(カワバタトモエ)選手 早稲田大学

SP:映画『シェルブールの雨傘』より
SP振付:デイヴィッド・ウィルソン

先程取り上げた青木選手と同学年で、シニア2シーズン目となります!
今季はSP・FS共に新しくし、今大会でファンの前で初披露となりました!
今回、SPを取り上げます!

2番滑走でかつ、2ページ目で取り上げる、宮原知子選手(木下グループ)の次に滑りました!

100m規模のリンクで滑らしたい

と感じるほど、リンクから飛び出そうな勢いあるスケーティングに、

登場人物が川畑選手に乗り移っている

かのような動きの数々が筆者の度肝を抜きました!

マイムを多用し、それを体を目一杯使って表現していくことによって、映画の世界観、ストーリー、キャラクターの気持ちを表しているのが印象的でした!

2分50秒以内で、映画のハイライトを見たかのような、濃密な実施でした!

SPは2位、総合4位で東日本出場権を獲得しました!おめでとうございます!今大会は怪我があって、ジャンプの難易度を一部抑えたとの事です。どうか少しでも回復し、東日本で力を出せるような状況になることを祈ってます!

樋口瑞保(ヒグチミズホ)選手 法政大学

FS:映画『ある愛の詩』より
FS振付:岩本英嗣

4月から大学3年生となりました!
今季はSP・FS共に新しいプログラムにしました!
今回はFSの方を取り上げます。

今年5月のサイニチ杯で初披露しました。

しなやかな腕の動きから伝わる情景

に心打たれる演技でした😭

曲調に合わせて、時に明るく、時に甘く切なく、ダイナミックに情感豊かに演じていく姿に胸にこみ上げてくるものがありました!

腕からメッセージが伝えているように見える感覚でしたね…!それに感銘を受ける演技でした!

【2021年版】東日本概論 第20回で書いた通り、樋口選手は足替えアップライトスピン(CUSp)という、世界規模で見ても導入する選手が殆いないスピンを取り入れています。これが出来るのは現行ルールだとFSだけですので、技術的な見所の1つです!

惜しくも東日本進出は逃しました。ホームリンクの閉鎖等で大変な経験をした中で出場し、心に残る演技を披露してくれた事に感謝しています。
大学3年生という事で、残り少なくなってきているかと思いますが、そのどこか必ず現地で演技を拝見する時を楽しみにしてます!

横谷杏林(ヨコヤアンズ)選手 東京歯科大学

FS:枯葉/愛の讃歌:メドレー(演奏:ピエール・ポルト)
FS振付:横谷花絵

今年4月に歯科大学進学し、今季シニアデビューの選手です!

今回はFSを取り上げます!

まず、このFSを継続し、コレオシークエンス(ChSq)付で拝見できたことが嬉しかったです!【2021年版】東日本概論 第17回で書いた通り、ChSq付でもっと見てみたいと願ってい、叶ったからです。

繊細なピアノのタッチを拾っていく、細かい音ハメに、美しさ、笑顔が心をくすぐられ、演技に引き込まれていきました!

枯葉の部分の終わりの方にChSqが挿入され、ここで一つ盛り上がりポイント、見せ場としての演出効果が加わりましたね!

前半と後半で違う曲調をしっかりと捉え、情感豊かに表現していく姿が印象的でした!

大空に虹がかかる光景が見える

スケートでした!横谷選手の演技力は本当に凄いです…!

技術的な所で大きく驚いたのが、フライング足替えコンビネーションスピン(FCCoSp)を導入し、スピンの構成を大幅に変更してきたことです!昨季は、レイバックスピン(LSp)、フライングキャメルスピン(FCSp)、足替えコンビネーションスピン(CCoSp)の順番でした。今季は、CCoSp、フライングシットスピン(FSSp)、FCCoSpに変えています!この変更により、昨季と同じレベル数を獲得すると、基礎点が上がる効果があります!またCCoSpではイリュージョン(難しいエントランスのバリエーション)をした直後にI字ポジションに姿勢変更していて、多彩なスピナーぷりに驚きましたね!

ジュニア時代から数えて、実に6年連続で東日本進出おめでとうございます👏大学生になってますます輝く演技に、楽しみが増える一方です!どうかステイヘルシーに、東日本で力出せますように!

松原星(マツバラアカリ)選手 明治大学

FS:映画『ピアノレッスン』より
FS振付:宮本賢二

4月から大学3年生となりました!FSは昨季からの継続ですが、衣装と、最初の曲を変えて挑んでいます!坂本花織選手(シスメックス)の演技を見て使用したプログラムです。
今年5月のサイニチ杯以来、久々に演技を拝見しました!

しっとりと、淡い風景から始まり、曲が進むにつれて松原選手の体から溢れ出るエネルギーに引きずり込まれていく不思議な感覚でした!

年々洗練されていく所作、持味の柔らかなジャンプの着氷、細い軸で綺麗に回るスピン、情感、伝えたい思い、

探せば探すほど、見所が沢山見つかる、宝箱のようなきらめき

を感じたのです!衣装の黒も相まって、暗い雰囲気からスタートし、様々な出来事を経て最後爆発し、フィナーレにむかっていく情景が見えるのです。

このプログラム、

筆舌に尽くしがたいほどの奥深さ

かありますね!このプログラムの魅力は何なのか、何度も何度も拝見することによって答えを導き出したくなるのですよ!

FSだけでは3位、SP5位から順位を上げ総合3位おめでとうございます👏どうかステイヘルシーに、

次のページに、シニア女子の続きと、シニア男子を書きました!ぜひクリックしてご覧下さい!

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フィギュアスケート@ピアノ

[動画付]ピアノで弾いてみた Vol.3 Magic Waltz 映画「海の上のピアニスト」より (from “The Legend of 1900”) フィギュアスケート使用曲

こんにちは、5才~高校2年生の終わりまでピアノを習っていたフィギュアスケートファンのLenaです。【2021年版】東日本概論シリーズ終了以来、約2ヶ月ぶりの更新となりました。今回は、フィギュアスケートで使われた曲を実際に弾いてみよう!のシリーズ、略して『ピアノで弾いてみたシリーズ』の第3回目となります!

第1回はハチャトゥリアン作曲、組曲『仮面舞踏会』より『ワルツ』を弾き、第2回は『Anthem(from “Chess”)』を山本草太選手(中京大学)の2017-18シーズンSPと、長谷川一輝選手(東京理科大学)の2020-21シーズンSPバージョンで弾いてみました♪
今回は映画『海の上のピアニスト』より『Magical Waltz』を弾いてみました♪
参考楽譜はこちらになります↓
マジック・ワルツ(Amedeo Tommasi) /ピアノ(ソロ) 上級

弾く時に感じた事、苦労した事、考えていた事などなどをまとめ、最後に演奏動画を載せます!
子どもの時にピアノを習って、大人になってまた趣味として楽しんでいるレベルではありますが、少しでも参考になったら幸いです!

それでは、始めましょう↓💨




きっかけは?

海の上のピアニストはフィギュアスケートでもよく使用されますね!そうなると『テーマ』、『The Crisis』、『愛を奏でて』といった代表的な曲を繋ぎ合わせることが多いです!『Magic Waltz』自体はある程度有名でありますが、フィギュアスケートで使用するケースは殆どありません。ではなぜ今回これを選んだのでしょうか?答えは、筆者のことをある程度分かっている方はピンと来たかと思います!

長谷川一輝選手が使って、綺麗な曲だなと思ったから

です!(少なくとも)2015-17シーズンFSの前半がこの曲なのです!と偉そうに書いてますが、実は筆者は現地で1回もこのプログラムを拝見したことがありません。よって、この当時はブロック大会や東日本とか、全日本ジュニア、全中等をフルでライストなんて無かったので…はい一度もその全貌を見たことが無いんです!!ただ、なんで分かったかと言いますと、演技の一部分を札幌のローカルテレビ局が取材したものを拝見できたからです。そこから推定しました。
話が思った以上に長くなりましたね…

フィギュアスケートでMagic Waltzを使用したのは、筆者が知る限りでは長谷川選手のみですね(海外含めて他に使用してる例がありましたら、ぜひ教えて下さい)。とても綺麗で、心躍り、華麗で軽快な曲で、聴いて気持ちいいなと感じましたし…ある程度の人気ある曲です。なぜ使用この曲の使用率が低いのでしょうかね…?筆者はフィギュアスケートの経験者ではありませんので、技術的に取り入れるのが難しいのかという点では、判断は出来ないですね。テーマ曲やThe Crisis等の他の曲に比べて知名度が劣っているだけなのか…

あっ、ここで1つ引っ掛けがあります!
映画のサウンドトラックは、かのエンリオ・モリコーネ氏が作曲してますが、この曲の作曲者はモリコーネ氏ではなく、アメデオ・トンマージ氏が作曲してますのでご注意ください!!

トンマージ氏はイタリアのジャズピアニスト兼作曲者として有名な方でした。映画ではピアニストとして撮影に協力だけでなく、一部の曲の作曲を手掛けてました。

この楽譜の奏法解説に、『イタリア盤のサウンドトラックにしか収録されていない』と書いてありました。確かに、イタリア盤ではこの曲含めて沢山の曲が収録されてますが、それ以外の国で出されているサウンドトラックでは収録されてないのです。それがフィギュアスケートでの使用率が高くない要因の1つなのでしょうか…?

…はい、この話は終わりにして、次は難易度について書きますね!


難易度は?

注意書きで『易しくしたがそれでも難しいかも』とありましたが…

あの、これ、

難しいーーーーーーーー!!!

と何回ピアノに向かって叫びたくなったかと思ったぐらいのレベルです!!

次のページでも説明しますが、近接する音を16分音符や、3連符、和音の16分音符音符等で素早く弾くことが求められ、音が複雑&上がり下がりが激しかったのが要因ですね。まず、自分の手が音を、メロディーを、曲を理解するのにとても時間が掛かりました。それからすらすらと弾けるようになって、ミスタッチを減らして、ある程度速度を上げて…と全ての工程に時間が掛かる難曲でした。

同じワルツに分類される仮面舞踏会の時のように、左手で三拍子のリズムに乗ってしまえば上手く弾ける曲ではありませんでした。『ズン・チャッ・チャッ』~♪で弾けるところも有りますが、『ズン・チャッ・休み』や『ズン・チャッ・えっ符点音符でタッカ?』とか『ズン・チャッ・チャッ』以外の左手の伴奏が多く占めていました。左も左手で和音に音の上がり下がりが激しい!リズムのパターンも複雑…

はい、自分の技量のなさを痛感しましたね。

この曲の後に練習し始めた曲の方が、先に完成するのではないかと感じたぐらいです(後に始めた曲は一体何かは次回のお楽しみに)!

執筆して判明したことなのですが、ヤマハのプリント楽譜ではもう少し原曲に近づけたバージョンも有りました。そして原曲はもっと難しいのかと思うと、このレベルで音を上げてたら原曲は弾けないと思ってしまいました。

高2の終わりにピアノをやめた際に、先生から言われたのが

『れなちゃん(筆者)は、もう大体の曲は弾けるようになったよ。』

数少ない弾けない曲なのかと、あー…
私はまだまだでしたね。もっと上手くなりたい。ピアノから数年離れたからこそ、色んな考えを吸収して、それを論理的にピアノにアウトプットする力を身に付けたからこそ、出来る演奏をしたいと強く願うようになりました。
この曲を弾いたおかげなのか、一山越えたような感覚ですね。もうどんな難しい曲もかかってこいと、吹っ切れたように感じてます。

はい、次のページでは完成までの期間、弾いた時に意識したことを纏め、最後に動画を載せます!

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フィギュアスケート@ピアノ

[動画付]ピアノで弾いてみた Vol.2 Anthem (from “Chess”) ミュージカル「CHESS」より フィギュアスケートの定番曲

こんにちは、5才~高校2年生の終わりまでピアノを習っていたフィギュアスケートファンのLenaです。フィギュアスケートで使われた曲を実際に弾いてみよう!というコンセプトでこの企画を始めました(勿論【2021年版】 東日本フィギュアスケート概論シリーズの執筆も進めてます)!前回はハチャトゥリアン作曲、組曲『仮面舞踏会』より『ワルツ』を弾き、第2弾として『Anthem(from “Chess”)』を弾いてみました♪

今回は、2017-18シーズンに素晴らしい演技を披露した山本草太選手(中京大学)のと、2020-21シーズンに素晴らしい演技を披露した長谷川一輝選手(東京理科大学)の2つのパターンを実際に弾いてみました!

弾く時に感じた事、苦労した事、考えていた事、2つバージョンの特徴をまとめ、それぞれの動画を載せます!
子どもの時にピアノを習って、大人になってまた趣味として楽しんでいるレベルではありますが、少しでも参考になったら幸いです!

それでは、始めましょう↓💨



きっかけは?

曲自体は2017年に山本選手の演技をきっかけに知りました!
初めて聞いた時、ジョシュ・グローバンの伸びやかな歌声に驚きました!
大怪我から復活したシーズンで、演技を披露するに至るまでのストーリーと重なり、更に感動したのを今でも鮮明に覚えています。
全日本とインターハイ、現地で拝見したのはこの2回でしたが、どちらも思い出深いものです。

それから時が流れ、2020年10月、今度は長谷川選手が使用すること判明しました!曲名を見た瞬間、
これは神プロな予感しかしない!!
と第六感が働きました。長谷川選手の滑りの特徴に合うし、なによりもこの曲で滑る姿が容易にイメージ出来たからです(詳しいことは【2021年版】特別講座をご覧下さい)!
いざ本番を拝見したら、もう感無量でした!最高潮の幸せでした!

そんなある日、私の友人が推しの誕生日に、自らピアノで推しの曲を弾いたのをSNSに投稿したのを見て、

自分もピアノ習ってたから、絵よりこっちの方が良いかも

と思い、調べましたが、長いブランクと、当時修士論文執筆の忙しさがあって中々決心がつかなかったのです。

そんな迷いを打ち破ったのは、同年12月の全日本選手権の演技です。

長年の夢が叶い、初出場の大舞台で素晴らしい演技を披露してくれたのです!この姿に感銘を受け、

誕生日にAnthemを贈る

と決意し、翌日の夜、長野の某コンビニエンスストアで楽譜をプリントしました😂
ついでに山本選手バージョンも弾いてみたいとも思いました!

このような経緯でブランクと修論と闘いながら練習を積み重ね、今回公開したわけなのです!

余談なのですか、実は、両選手は同じ国際大会に派遣されたことがあるのです!2018年3月にルクセンブルクで行われた『クープ・ド・プランタン』で、カテゴリーは長谷川選手がジュニアで、山本選手はシニアと違いましたが同じ大会に出場しました!

さて、次からは弾いて感じたこと諸々を書いていきます↓


難易度は?

全体としては、
中の下ぐらいのレベル
の曲だと考えてます。

これは両手で弾けること、和音やオクターブが弾けることなどなど、一通りのことをこなす力があることが大前提です。『子犬のワルツ』、『エリーゼのために』、『仮面舞踏会』辺りが弾けるレベルであれば弾けると見ています。メロディーを弾くイメージがすぐに出来やすい曲です。

ただ、この曲が厄介な所は、後半がオクターブや、片手で4音弾く和音が連続して続く所です。なので、手が小さくてオクターブを弾くのが大変という方は少し難易度が上がるように感じるかと思います。それとミスタッチがしやすいので、後半部分の練習を何度も何度もおこないました。

筆者の場合はオクターブが余裕で届く手の大きさなので、和音、オクターブに関しては問題なく弾けました。

だからと言って今回すんなりと弾けたかと言いましたらそうではなかったです。

ピアノをやめて5年以上経過し、その間に時々弾いていましたが…頻度は少ないかつ、一過性のものだったため、実質はかなりブランクがありました。大変でした…まず、ずっと苦手だった三連符どころか、ガッツリ練習していた時に問題なかった符点音符のリズムの取り方すら忘れかかるという現象が起こりました。

こんなことがあって、最初は実際より難しく感じましたね…

中の下ぐらいはあくまでも目安です。個人の状況によって実際に感じる難易度は違いますので、参考程度にしてください。


完成までどれぐらいかかった?

去年の全日本で弾く決意をし、長野のコンビニでプリントしました!そこから数日後には練習を開始しました!最初は片手で全体を弾いていましたが、年明けからは長谷川選手の編曲で練習をしていました。使われていなかったところは全く練習してない状態です。

数年ぶりにピアノに触れて、新しい曲に挑むのに四苦八苦しました。色々忘れていました。それを思い出すのにそれなりの時間がかかりました。
更に、当時は修士論文を書いていたため、最大で週5回、1回30分練習量でした。時間無いと、週1回なんてありました。そんな練習スタイルが1ヶ月強続けて、両手で合わせてなんとか通して弾けるレベルまでに持っていきました。そこで1回修士論文完成のために、練習を休みました。そして無事提出し、再開させました!再開させたあとは併行して、仮面舞踏会や他の曲を弾き出すようになりました。
そこから1ヶ月は、ほぼ毎日練習して、ミスタッチを減らすことと、表現に力を入れていました!

こうして3月上旬に長谷川選手バージョンで収録しました!

長谷川選手バージョンで練習している間、山本選手のバージョンも折角だから弾いてみたいと思うようになりました。ただ、2つのバージョンを同時併行に弾いたら混ざりそう…と思い、長谷川選手バージョンで収録したあとに、山本選手バージョンの練習を開始しました。これは同じ所がほとんどだから、そんなに練習しなくても大丈夫かなと思っていましたら、中盤が大きく編曲が違って焦りました。2週間後に貸しピアノスタジオを予約したので、大慌てで猛練習しました😂

こうして、3月下旬頃に山本選手バージョンを収録しました!

ブランクが相当あるからもっとかかるかと思ってましたが、自分の予想よりかはかからなかったです。2つのバージョンを弾いて3ヶ月かからなかった感じです。ただ、執筆時(5月中旬)での練習量と、現在弾いている曲の難度がAnthemより難しいものであることを考えると、今だったら1ヶ月半で仕上がった気がします。

今回はあくまでも体験談として、初めて弾いた状態で3ヶ月弱かかったと示しておきます!

次のページでは、共通して弾く時に意識していたことと、それぞれの選手のバージョンを説明し、動画をご覧いただきます!
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